2500年の歴史 日本人が好む、瓦葺きの家
(2010年4月)
瓦を寸法に合わせ大きさを調整する
昨年、関口瓦店が瓦屋根を葺きなおした諏訪神社(下斉田町)
代表取締役の高橋広明さん
有限会社関口瓦店
“瓦”という文字には、『粘土を固めて焼いた土器』という意味があり、その起源は約2500年前に遡るとも言われる。日本には588年に朝鮮半島の百済より伝来。飛鳥時代に寺院建築が活発になり、瓦が一般的な屋根材として普及したとされる。現在では、粘土に限らずセメントや、銅・アルミ合金などの金属系など様々な材質によって瓦が作られているが、古来より建物を守るための屋根材として重宝されていることに変わりはない。
高橋さんは、瓦が持つ歴史と古くから継承される建築美に惚れ込み、瓦専門の施工にこだわっている。かわらぶき1級技能士の資格を持ち、少林山の山門などの屋根の葺き替えに係わった経験を持つ。「瓦は耐久・耐火性に優れ、遮音や換気にも効果的です」。瓦が波うっているのは造形美を作り出すだけではなく、敷き詰めた瓦の谷の部分が雨水の通り道となり瓦の葺き方でどこに雨水を持っていくかコントロールする。屋根の大きさや形状に合わせて、瓦の割り付けを行い葺いていく。坪あたり53枚も使用される和瓦は、高橋さんの手によって日本建築を彩る見事な屋根へと変貌を遂げ、その性能を充分に発揮することができる。
瓦は地震に弱いというイメージがあるが、意外なことに、躯体のしっかりした木造建築に対しては、瓦葺きの屋根でも地震に強いという研究結果もある。高橋さんによると「瓦の重量が絶妙のバランスを生み出し、木材がしなることで衝撃を吸収してくれる」というから驚きだ。
「躯体がしっかりして適度な補修をすれば、瓦葺きの屋根は100年近く持つとも言われています」。種類やデザインも豊富で、どんな建物施工もできる、古くから使われている瓦葺きの屋根をお勧めしているという。
現在では、和・洋の建築様式を問わず、時代に適合した形で瓦文化が継承されている。先人の知恵と、その独特な表情は、私達の暮らしの中で今でも身近な存在だ。
個性的な屋根にはご注意を=時代の変化に合わせて、洋瓦には多種なバリエーションが存在する。しかし、流行瓦も後に製造中止となることもあり、部分補修に対応できない場合がある。長期的な手入れを視野に入れ、定番瓦を選択することが低コストの秘訣だ。
有限会社関口瓦店
代表取締役:高橋広明
住所:高崎市八幡原町442-7
TEL・FAX:027-347-2714
高崎商工会議所『商工たかさき』2010年4月号