700年にわたる歴史を紡いできたお手本にしたい会社
(2010年1月)
明治13年「本町大火」で一部が焼けた過去帳
代表取締役 小保方由紀子さん
小保方鋼機株式会社
●創業は鎌倉時代、文保2年(1318年)
小保方鋼機(株)は、現在、産業機材をメインとした卸商社として、群馬県内一円、埼玉、長野の一部地域を営業エリアに、製品の安定供給を行っている。何より驚くべきは、その生業の古さであり県内最古、この業界において国内最古の老舗といわれる点である。
そのルーツは、はるか鎌倉時代末期にさかのぼることが、菩提寺である伊勢崎市・本光寺に残る古書に記されている。それによると、伊勢崎在小保方村にて名主を務め、荘園主、豪族等に打刃物、建築金物、農工具、馬具等を納入する一方、地域の農村に農機具、刃物の注文生産を成すことを生業にしていたという。足利時代中期には、小保方蔵右衛門という人が家業に励み、伊勢崎町の中心に店舗を構え、銅鉄店として金物の地方問屋、鍛冶工場として手広く営業を展開していたようだ。
こうした歴史を調べ明文化したのは、現社長由紀子さんの祖父、横浜国立大学経済学部教授であった武藤正平氏が同社の経歴書を作成した。それによると「文保2年(1318年)初代小保方七左衛門創業。正長2年(1429年)伊勢崎に店を開く。明治5年(1872年)高崎に店を移転。大正14年(1915年)4月に(株)小保方銅鉄店を設立。昭和36年(1961年)7月に商号を小保方鋼機(株)に変更」といった沿革に改めて驚く。
●調和を重視し“堅実・誠実・確実”の三実を実践する
経済社会における新陳代謝が激しい中で、同社が700年近く発展し続けたのは奇跡ともいえる。
23代目由紀子社長は、「物事を性急に判断して急激に変えるということはしません。近年、部門を一つに統合し、工業機械分野を強化して効率化を進めていますが、お客様がある以上、商品の取扱いは継続するので、取扱品目は現在8,000アイテム以上。お客様とともに変化することが大切です」と話す。
営業担当の田島常務は、「営業スタッフの若返りを図りエリア別に担当を決め、きめ細かなフォロー体制を築いています。また、卸売業者などからも頼りにされる拠点として、当社に足を運んでもらえるような環境を整え、問屋のネットワーク化を進めるなど、厳しい時代を乗り切る体制作りを進めています」と言う。
懐の深い視点、時代にしなやかな対応、社是である「堅実・誠実・確実」の三実の実践、という極めて深い思いやりの経営観が息づいており、長い歴史を紡いできた企業に納得がいった。あと8年で創業700年を迎える。
代表取締役社長:小保方 由紀子
住所:高崎市飯塚町47-1
電話:027-362-7111
高崎商工会議所『商工たかさき』2010年1月号