信頼し合い補い合う同志/社名変更で決意も新たに
(2009年12月)
牧 徳太郎さん・久仁俊さん
株式会社牧徳
大正10年創業。88年目の今年8月に、「有限会社牧徳ユニホーム」から「株式会社牧徳」と社名変更を行った。徳太郎さんの祖父が起こし、日用雑貨・洋品などを扱う「牧徳商店」から、3代目になる現社長の徳太郎さんが、作業服や白衣、事務服などのユニフォームを扱うようになり「牧徳ユニホーム」としたのが25年前だ。
そして今年、防犯・防災関連用品などの取り扱いも増え、ユニフォームというくくりで収まりきれなくなり、営業先でユニフォーム以外も取り扱っていることをアピールするためにCI(コーポレート・アイデンティティー)として社名から「ユニホーム」を外した。名は体を現す、事業の軸足を広げていこうという決意を込めて、家業に入って10年になる久仁俊さんの強い意向でもある。
「幼いころから、家業を継ぐのは自分という思いがあり、なんの抵抗もなく高校卒業後、静岡の同業者のところに修行に出ました」と話す久仁俊さんは、徳太郎さんの病気で1年で家業に入り、いきなり現場に出ることになった。「私が倒れて人手がないうえ、業績も悪い時期でお互いに気持ちがとがって親子喧嘩も多く、息子には気の毒なことでした」と、徳太郎さんは当時を振り返る。
しかし厳しい時期を乗り越えることで、久仁俊さんは変わった。「家族経営の会社、父親と社長が同じで混乱した時期もありましたが、気持ちを切り替えて、父を常に社長として見ることができるようになりました」という。営業に臨む姿勢も、カタログと値引きありきの営業から、お客様からヒアリングしニーズに応じた提案を心がけるようになると、徐々に実績が上がるようになった。
「自分のころは右肩上がりの成長の時期で、やればやっただけ結果が出ましたが、今は違う。大変な状況で生地や素材の勉強を良くやっています。ただ慎重すぎるので、もう少しチャレンジしてもいい」と徳太郎さんが言うと、「社長はもう少し慎重に」と久仁俊さんが突込む場面が微笑ましく、やっぱり親子だ。
今や大海原を旅する船の同志。久仁俊さんの成長が何よりうれしく頼もしくある徳太郎さん。親子夫婦で切り盛りする家業にあって、互いの大切さが身にしみる。だから絆が大事で、関係を良好に保つ努力を欠かさない。
ちょっと一言
地元の消防団に所属し、地域の防災活動にも尽力する牧さん親子。久仁俊さんは、学生時代のサッカー経験をいかして、地元の少年サッカーのコーチを務めていたこともある。地域の次代を担う若手の頑張りは、頼もしくエールを送りたくなる。
株式会社 牧徳
代表取締役 牧 徳太郎
営 業 牧 久仁俊
住所:高崎市請地町11
電話:027-322-3332
高崎商工会議所『商工たかさき』2009年12月号