まんがも週刊誌もない、本屋さん

(2009年12月)

まんがも週刊誌もない、本屋さん「日本薬局方」に“廣川書店”の文字とロゴマーク

まんがも週刊誌もない、本屋さん廣川温人さん

株式会社廣川書店

医学専門店の草分け

 廣川書店は、医学書専門店として日本の草分けだ。現社長の温人さんは二代目。初代社長、父の酉松さんは大正15年に兄と東京本郷で解剖書の販売を始め、その後薬学書販売も手掛けた。現在と違い人体の解剖図を画家が描いていた時代だ。

 酉松さん兄弟は、日本国内の医薬品の規格や取扱いを定めた「日本薬局方」を出版し、医療関係者の必携書として普及させた。前橋市の医専(現群大医学部)や高崎十五連隊の医師の推薦・要望があり、酉松さんは昭和9年群馬で開業した。昭和22年には、医専の一角、学生ホールに店舗を設置した。先見の明があり、全国初の医学書専門の流通センター開設に中心的な役割も果たした。医学書の出版・販売分野では、酉松さん兄弟をルーツに廣川の名は広く知られ、信頼も厚い。

専門知識とコミュニケーション

 素人が考える以上にこの世界は広く深い。お客様は、医師、研究者、学生など医療の専門家。以前は国内の医学書は少なく、海外から書籍を船便で日数をかけ輸入した。山のような洋書を仕分けし、外国語の医学用語や著者、出版社に関する知識が求められた。しかし近年は日本で出版される本も多くなり読みやすくなった。

 廣川書店では、配達を営業の基本として考え、新刊本の中から各医師の専門や好みに応じて選んで直接書籍を届けている。お客様とのきめ細かなコミュニケーションが何よりも大切と考え、営業方針としている。

 昨今では介護や福祉分野も加わり、細分化した専門書は月刊誌だけでも百種類以上が発刊され、毎日何十冊と新刊本情報が届く。その中から先端知識やお客様の求める書籍を選別する目が求められる。

明るい店内に若者の姿

 店舗は宮元町の高崎店と、群大医学部前の前橋店。群馬大学を核とし、医学書専門店の無い埼玉県北部や長野県西部の医療機関とも取り引きをしている。前橋店は息子の和人さんが任され、書籍の品揃えや店舗経営を切り回している。

 先日、大学生30人が高崎店を訪れ、図書館の蔵書を学生の目線で選んでいった。店内は明るく、若い学生が本を探す姿が見られる。医師の紹介で食事療法の書籍を求める一般客も来店する。入門書、手引き書などもあり、背表紙を眺めているだけでも研究者気分が味わえるので、一度訪れてみてはいかがだろうか。

まんがも週刊誌もない、本屋さん

代表取締役社長:廣川温人
住所:高崎市宮元町46
電話:027-322-4804
http://www.hirokawa.book-store.jp/

高崎商工会議所『商工たかさき』2009年12月号

高崎の都市戦略 最新記事

勝ち残る専門店

グラスメイツ
グラスメイツ
メガネ店の店員も買いに来るメガネ専門店
辰巳
辰巳
印傳と陶器の専門店/県外からもお客様
有限会社三洋堂
有限会社三洋堂
パソコン全盛時代に書道のおもしろさを伝える

すべての記事を見る