米の生産から販売まで“高崎”にこだわる専業農家
(2009年11月)
はとりや本店
減少する日本の米づくり
日本人の主食である『米』。その品質は世界一と言われながらも、輸入米や減反政策などの影響で農家は減少傾向にある。そんな中、 はとりや本店の鳥羽さんは、旧高崎地域でコシヒカリを中心に米作りを行っている。製造から販売・配達までをほとんど一人で行い、生計を立てている貴重な専業農家といえる。
低コスト・高品質への取り組み
鳥羽さんは『コスト感覚の重視』に徹底した米作りを行っている。「事業主としてコストに気配りするのは大切なこと。しかし、一般の農家は肥料や設備にお金をかけすぎる傾向がある」と話す。お金をかけずに良い米を作り、販売価格が高騰しないように努力を重ねてきたのだという。
1平米に植える苗の数を一般的な本数の約半分にすることで、苗間の風通しや日当たりを確保し、虫の定住を防いでロスの削減に成功。結果として一苗が大きく育ち、収穫量にも大差がないという。鶏糞と菜の花を元肥に使用し、化学肥料や除草剤を減らしてコストダウンを図り、土壌にも優しい「環境保全型農業」を実施している。
収穫した米の保管方法も特徴的だ。モミすりして玄米で保管するのが一般的だが、その場合、大型冷蔵庫が必要になり設備投資が強いられる。そこで、はとりや本店ではモミのまま貯蔵。手間だが販売に応じてモミすりを行うことで、いつでも鮮度を保った米を販売できるという。
地域の繋がりを大切にする販売戦略
鳥羽さんは過去のセールスマン経験を活かし、サンプルの配布やイベントへの出店、年中無休・24時間配達サービスといった積極的なアプローチを仕掛けていった。そのおかげで顧客が増え、作付面積も1.2haから2.5haへと拡大。しかし、高崎産の米を地元の人に食べてほしいとの思いから、通信販売などは行わず、あくまでも対面販売にこだわる。「今後は環境への配慮からフードマイレージ(輸送に伴うエネルギー量を減らす)が徹底され、より一層、地産地消の傾向が強まっていくはず」と自信をのぞかせる。
「商売は信頼関係が何より。米と同時に自分自身を売り込むことも必要」と話す鳥羽さん。はとりや本店の最大の武器は鳥羽さんの人柄と、ひたむきな努力であることは間違いない。『生産者自らがセールスを行う』この姿勢こそ、食の安全をアピールするための究極の戦術なのかもしれない。
はとりや本店
代表:鳥羽 克彦
住所:高崎市下大類町36
電話:090-3476-8054
高崎商工会議所『商工たかさき』2009年11月号