“もったいない”から生まれた話題の店

(2009年8月)

“もったいない”から生まれた話題の店もぎたて完熟屋、店頭で新鮮な野菜も販売されている

“もったいない”から生まれた話題の店代表取締役 原 寛さん

もぎたて完熟屋

 本町に地産地消をコンセプトにした「もぎたて完熟屋」がオープンして2ヶ月半。倉渕や榛名産を中心とした農畜産物を使った惣菜やお弁当、イートインでのランチが人気だ。経営しているのは、倉渕町で釣り堀と水産加工業を営むカネト水産㈱。

 「近所の農家の方たちから、畑で完熟になった野菜や大玉の野菜をよく頂くのですが、聞けば自分達のルートでは販売できないとのこと。何とか、この野菜を活かすアイデアはないものかと模索していました」と原寛社長。これまで青年会議所で高崎の観光や物産振興について取り組んできた原さんには「安全で新鮮な地のものを使った料理を、もっと地元の人や来街者に食べてもらいたい」という思いがあった。

 昨年9月、高崎スズランで開催された「大群馬展」に、倉渕産の「男爵いも」と「もち豚」を使ったコロッケなどの惣菜を自ら調理して出展してみたところ結果は好評だった。当初は惣菜加工所だけを作るつもりだったが、知人から「蔵を店舗として使わないか」と誘われ、販売や飲食もできる店舗にすることを決意。今年3月上旬に本格的に取り掛かって急ピッチで店舗づくりを行い、5月下旬の開店にこぎつけた。

 「この場所に出会えてラッキーでした。本町界隈には老舗があって、蔵や寺なども残っています。まちの雰囲気づくりに貢献できて活性化に役立てれば嬉しいです」と地域に根ざすことを大切にしている。実際、スーパーなど生鮮食品を扱う場所がなくなってしまったこの地域にとっては有難いようで、地域の人々が自転車や徒歩で来店する。

 現在、野菜は倉渕町で有機野菜を生産する「農業法人有限会社エコル鳴石」や「農産物直売所きまぐれ」などから仕入れる。また、鶏肉や豚肉も榛名町や倉渕町産だ。生産者から農畜産物の有効利用として大変感謝されている。現在、榛名の果物を使ったスイーツづくりにも挑戦している。「地のものを使って手作り食品を提供することにこだわっていきたい」という原社長の挑戦は続く。

ちょっと一言

 『高崎には名物がない』と良く言われるが、地元でしか味わうことができない新鮮な食材とそれを使った惣菜などは、高崎を訪れる人に自慢したいものだ。名物料理をひねり出すのもいいが、こういった自然体の中から出てくるものが本物のような気がした。そしてこのチャレンジは、市町村合併によってもたらされた大きな産物であるとも言えないだろうか。

もぎたて完熟屋・カネト水産株式会社
代表取締役 原 寛
住所:高崎市本町10-1
TEL:027-325-7525
営業時間:午前11時~午後7時・不定休

高崎商工会議所『商工たかさき』2009年8月号

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