自作の印鑑でバトンタッチ

(2009年5月)

自作の印鑑でバトンタッチ代表取締役会長 岡田彰さん、代表取締役社長 岡田篤史さん

自作の印鑑でバトンタッチマニシングセンタが並ぶ工場内

株式会社ユニマック

 「機械加工で出来る限界があり、最後は手仕上げで調整します。そこまでのクオリティを実現するのが、日本人特有の細やかさであり強みです」と、金型部品を手に話す岡田篤史さんは、4月より社長に就任した。ユニマックはプラスチック金型製造を手がけ、その製品は、自動車内装部品、内燃機関器具、家電部品、携帯電話部品など多品種に及ぶ。

 4人兄弟の長男だった彰会長は高3で父親を亡くし、一家を背負って立たなければならなかった。高度成長期の1968年に機械彫刻を主としたユニ機械彫刻所を創業した。その後電極彫刻から、金型部品の加工、金型製作へと事業範囲を広げ、技術とノウハウの向上に取り組み、現在のユニマックへと成長させた。  一番嬉しかったのは、当時大学生だった篤史さんが、家業を継ぎたいと言ってくれたこと。「元気が出て、早速、次を見据えた設備投資をしました」と笑う。先頃は、社長交代に当たり娘さんたち家族も集まり、“お父さんご苦労様会”と、“あっちゃんがんばれ会”を開き、みんなで記念樹を植えたという愛情あふれる家族だ。

 しかし、篤史さんに対しては、厳しい姿勢をとり続けた。篤史さんは、CAD/CAMメーカーで営業技術、部品加工業で加工技術、金型メーカーで型設計とおよそ6年間に3社の企業を経て家業に入り、父親の要求にもよく応えた。

 自分の技術力で社員を引っ張ってきた父親のやり方とは別に、篤史さんは、社員に何を任せ、どう動いてもらうかという組織力をもって、ものづくりにアプローチする。

 「我々の時代は、いい物を作れば必ず売れました。しかし新社長は、この世界不況下での就任となりました。アイデアや工夫で、乗り切らなければならないでしょうが、その力は十分にあると思います」と、息子を認めエールを送る彰会長。社長就任に当たって篤史さんに、自ら機械加工した代表者印を渡した。それは、会長が父として経営者として、万感の思いを込めた技術者として最後の仕事となった。

ちょっと一言

 「金属切削のスペシャリストとして、“削り”をキーワードに、お客様のあらゆるご要望にフットワーク軽く対応していきます」と言う新社長。ユニマックでは、プラスチック金型以外に精密装置部品、鍛造型部品、プレス金型部品など幅広い分野の加工を扱っている

株式会社ユニマック
住所:高崎市下滝町433(綿貫工業団地)
電話:027-347-1900

高崎商工会議所『商工たかさき』2009年5月号

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