レアメタルを抽出 高崎の化学技術が日本の資源を生み出す

(2009年5月)

レアメタルを抽出 高崎の化学技術が日本の資源を生み出す電気分解後に抽出した銅

レアメタルを抽出 高崎の化学技術が日本の資源を生み出す代表取締役 中澤 孝二さん

株式会社エコ・マテリアル

資源大国!?日本

 鉱山資源のほとんどを海外からの輸入に頼る日本であるが、近年その様子が変化しつつある。日本は、携帯電話やパソコンなどのIT機器の普及が高まり、希少資源であるレアメタル(産業に使用される希少な非鉄金属)の使用量も多く「都市鉱山」と呼ばれている。

 半導体や自動車産業の製造過程でも、型抜き後の残りの部材などにも多くのレアメタルが含まれているが、有効に処理されていないことも多い。

 その中からレアメタルを取り出し、再利用する取り組みが注目を浴びている。

資源を生み出す新ビジネス

 エコ・マテリアルは製造工程で排出される金属スクラップから、レアメタルを独自の技術で精製している。電気分解精錬事業と呼ばれ、電気分解を利用して金属を分離・抽出する。薬剤の入った水槽にレアメタルが残る金属スクラップを入れ、レアメタルとその他の金属を分離して抽出するものである。

 中澤さんは化学会社に勤めていた経験があり、その際に化学の知識と技術を習得した。「何が使われているのだろう?とあらゆる製品を化学的に見る癖がついていた」と言う。こうした視点の違いこそが「隙間産業」と呼ばれる新ビジネスへの可能性を見出した。退職後、家族と協力し平成20年4月に㈱エコ・マテリアルを設立。レアメタル等の金属に特化して抽出を行う企業として独立。「資金よりも技術で勝負」と話すように、工場設備や浄水施設まで出来るだけ手作りで進めたという。準備に時間はかかったものの、工場も稼働し、問い合わせも増えた。今後の展開にも手応えを感じているそうだ。

時代に合わせた企業努力

 会社の屋号にも使われている通り、今後は「エコ」への風潮がさらに高まるはず、と自信をのぞかせている。「消費大国日本だからこそ、資源を大切に使う責任があります」と中澤さんは話す。廃棄物の削減と希少金属の精製が同時に行われる業種こそ、今の時代にはうってつけと言えるだろう。

 「金属にも、時代に応じて流行りや主流があります。最新の情報を常に把握し、技術力をうまく応用して、ニーズに合った金属を精製していくつもりです」。エコ・マテリアルの技術が、「都市鉱山 日本」の新たな可能性を導き出す。

代表取締役:中澤 孝二
住所:高崎市中室田町4212-1
TEL・FAX:027-386-2628
URL:http://www8.plala.or.jp/metal-ecomate/

高崎商工会議所『商工たかさき』2009年5月号

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