高崎文化芸術センター平成30年にオープン

高崎文化芸術センター平成30年にオープン

東口の都市集客施設
音楽ホールゾーンを先行して建設

 高崎市がJR高崎駅東口に整備を計画している都市集客施設について、高崎市は、8月28日の高崎市議会都市集客施設調査特別委員会で基本計画の最終案を示した。

 今回の基本計画は昨年の7月に示され基本計画(案)を基にパブリックコメントや市民懇談会、関係団体等からの意見や提言を受けて基本計画として策定された。

 都市集客施設は、音楽ホールゾーンを核にした東エリアと、ビジネスゾーンを核に再開発で整備を進める西エリア、そして両エリアを接続する交流ゾーンで構成されている。

 今回発表された基本計画は、東エリアの音楽ホールゾーンを中心としたもので、施設は「高崎文化芸術センター」として位置づけられ、平成30年度のオープンをめざす。

都市集客施設東エリアを「高崎文化芸術センター」に

 「都市集客施設」は、新しい高崎のシンボルとなる施設で、高崎の文化を創造・発信する拠点となる。また、東日本における産業・業務の中心都市として、高崎市の都市機能と業務集積を高め、ビジネスチャンスを創出し、交流人口の増大を図る。

高崎文化芸術センター平成30年にオープン建設計画区域(クリックで拡大)

高崎文化芸術センター平成30年にオープンエリアマップ(クリックで拡大)

 高崎市は、都市集客施設の東エリアの音楽ホールゾーンを市の事業として建設し、西エリアのビジネスゾーンは関係地権者等による再開発事業として建設する。そして、東エリアを「高崎文化芸術センター」とし、先行して整備を進めることにした。

 高崎文化芸術センターはプロポーザル方式で今年12月初旬までに設計業者を選考する予定。設計業者決定後、直ちに12月中から基本設計に入る。平成26年11月から実施設計を行い、建設工事は早ければ平成27年度から29年度、そして30年度に開館予定となっている。

 現時点での概算規模として、高崎文化芸術センターは、単独建造物として最大25,000㎡ 程度が想定され、建設費は約160億円が見込まれている。この建設費は国の補助金、合併特例債や都市集客施設等建設基金等が活用され、高崎市の負担額は、約25億円と試算されている。

音楽の街高崎と新たな音楽ホール建設の意義

 昭和20年11月に高崎市民オーケス トラが産声をあげ、翌年3月8日、高崎市立女子高等学校の講堂で第1回定期演奏会を開催したことに端を発し、以後70年に及ぶ歴史と活動を展開してきた群馬交響楽団。東京大空襲から1年後に、当時人口7万程度の高崎市に交響楽団が生まれたことは奇跡と言つても過言ではない。しかし高崎市民オーケストラを生み出した歴史的背景がそこにある。高崎は、B00WY に象徴されるロックやポップスの音楽分野においても、福岡や広島に匹敵する優れたアーティストやプロデューサーを輩出してきた。そして、今でも若者の音楽活動がエキサイティングに展開されている全国有数の都市である。さらに層の厚い幅広いジャンルのプロの演奏家、数多くの合唱団や吹奏楽団の存在は、高崎が「音楽の街」である所以である。

 群響の第1回定期演奏会から15年後の昭和36年に、群馬交響楽団の本拠地である群馬音楽センターが誕生した。群馬音楽センターは、その後50年を超える長きにわたり群馬交響楽団の本拠地ホールとして、また市民のシンボル、音楽文化・舞台芸術の殿堂 としてその役割を担ってきた。しかし、音楽や舞台芸術の公演形態の変化、社会・文化環境が著しく変化する中で、施設や機能に対する不備により、新しい時代の音楽や舞台芸術の公演形態に対応できないという現実的で切迫した問題を抱えている。群馬交響楽団のさらなる創造的な飛躍のためにも、高崎に新たな音楽ホールの必要性が高まってきた。

 今回の新たな音楽ホールは、「都市と文化」「都市と音楽」「文化と経済」という新たな時代精神を掲げた「高崎パブ リックセンター」を呼称する都市集客施設として建設されるものである。この高崎パブ リックセンターは、基本計画にも明確に示されているように、「上信越と首都圏、そして北関東の中心都市高崎の顔」として、高崎の都市ブランドカを高めていく「都市集客施設」である。

 その東エリアに先行して建設される「高崎文化芸術センター」は、群馬交響楽団をはじめとして多彩で個性的な音楽資源を持つ高崎にとって不可欠な施設であると同時に、その創造的機能をフルに活用して、芸術・文化を供給し、需要を喚起する。

 「高崎文化芸術センター」に多くの人々が集い、芸術を共感して、新しい感性と価値観とパワーを生み出し、創造都市高崎を目指す施設としていくことが期待されている。

上信越・北関東を代表する選ばれる音楽ホールに

 高崎を代表する芸術・音楽ホールである群馬音楽センターは、「時の市民之を建つ」に象徴される高崎の都市文化のシンボル的存在ではあるが、音楽ホールとしては多くの課題を抱えている。ポピュラーやロック系のコンサートは、舞台装置が大型化し、音楽センターでの開催が難しいことから前橋市などに流れ、長い期間、高崎ではあまり行われていない。また、音楽センターは残響時間が短く、音質面におけるクラシックの演奏家やファンからの評価は厳しい。ロビーが狭く客は屋外で列を作って待たされるので雨の日や冬期はつらい、座席も狭く長時間座っていると疲れるという声は多い。

 群馬音楽センターや高崎市文化会館は、市民の芸術文化活動の発表会には数多く利用されているが、プロの本格的なエンターテイメントとしてのコンサートや舞台芸術の公演にはあまり利用されていないという調査結果が出ている。主催者は群馬県内の他のホールを選んで利用しているのが現状である。

 新たな音楽ホールの建設により、これまで前橋、伊勢崎、桐生のホールでの開催を余儀なくされていた様々なコンサートや舞台芸術が高崎で開催されることになり、群馬の音楽状況は一変することが予想される。さらに、都内・県内の音楽事業者からのヒアリングでは、高崎駅に隣接し利便性が高く、広域からも集客できる新ホールは、搬入搬出や舞台の仕込み等使い勝手が良ければ、全国ツアーなどで上信越や北関東で一ヵ所でしか開催できない公演も高崎開催の優先度が高いとの結果が出ている。

メイン音楽ホールは高性能かつ多機能で、総客席数は2,000席

 高崎文化芸術センターは、群馬交響楽団の活動や幅広い音楽や舞台芸術、市民の文化活動に対応するため、メイン音楽ホール、小音楽ホール、スタジオの3つの施設を中心に構成されている。

 メイン音楽ホールは、上信越・北関東有数の音楽の殿堂。総客席数は2,000席。群響の本拠地ホールとして、クラシックコンサートをメインに、ポップス、ロック、ジャズなどの幅広いポピュラーコンサートなど、異なるジャンルを一つの空間で提供できる高性能で多機能なホールとなっている。舞台の特色として、多面舞台を持ち、様々な演目に高いレベルで対応できるようにする。また、可動式の音響反射板を備え、設置した状態では、音の反響を重視したオーケストラを中心としたコンサートホールとして、収納した状態では多様な舞台芸術やポピュラーコンサートなど多目的に利用できるホールとして舞台を大きく変化させることができる。

 また、小音楽ホールは、固定式400席程度の座席を配置したクラシックを中心とした音楽専用ホール。室内楽リサイタルやピアノ発表会、アコースティックライブに最適な小規模ホールで、ソロ公演や市民コンサートなどにも使いやすいコンサートホールである。ピアノや管楽器などの生音の反響に配慮した密封性の高いステージと天井高を確保する。

多様な表現活動に対応したスタジオ機能、能舞台の設置も可能に

 スタジオは、表現者の多様な創造活動の発表場所として機能するメインスタジオと、練習などのサポート拠点として機能する7つのスタジオで構成される。

 メインスタジオは、ライブコンサート、邦楽や能など日本の伝統的舞台芸術、映画上映、ダンス、演劇、講演会、ワークショップに至るまで多様なニーズに対応できるワンボックス型芸術創造スペース。客席はロックコンサートなどオールスタンディングにも対応可能なフルフラット型スペースで、椅子席整列時には約500席程度、フルフラットのオールスタンディング時には約1,000名程度が収容可能となっている。

 特筆されることは、スタジオのどこでも舞台になる分割昇降式ステージと可動席の組み合わせにより多様な芸術表現が可能になり、能舞台等も設置できる空間になっている。

 このメインスタジオの他に、芸術文化創造の場として、音楽家や舞台芸術家、そして市民の創造活動をサポートするスタジオを7つ設ける。アンサンブルや合唱、ダンス、演劇団体、ジャズバンドやロックバンドなどの創作、練習活動などに利用できる大型のリハーサルホール。日本舞踊、邦楽などの創造活動ができるスペース。ピアノや管楽器などの個人練習室などを備えたスタジオを設ける。

 これらのスタジオは音楽ホールの付帯施設ではなく、鑑賞の拠点としてのメイン音楽ホールと並ぶ真に高崎文化創造の拠点と位置づけられている。

交流と憩いの機能で賑わいと回遊性の創出

子どもたちのためのキッズスペースも

 都市集客施設の東エリアの「高崎文化芸術センター」と、西エリアのビジネスゾーン(再開発ビル)をつなぐ「交流ゾーン」には、食事や会話を楽しめる質感の高いレストラン、緑あふれるオープンスタイルのカフェテリア、売店などの飲食施設や屋上庭園、水と緑のガーデンなど、市民生活に潤いと豊かさを提供する交流スペースが設けられる。

 また、高崎の子どもたちが豊かな創造性を育み、健やかな成長を育む場としてキッズスペースやキッズ図書館、託児所も備える計画となっている。既存の医院との連携なども図りながら、誰もが安心して訪れることのできる憩いの場所としていく。さらに音楽芸術関連のビジネス、ショップ、チケットカウンターなどが置かれ、高崎の音楽芸術関連産業を育成する。

 そして、コンサートやイベントの来場者が「高崎文化芸術センター」にだけ来場するのではなく、高崎駅西口エリアにも回遊して、食事をしたり、買物をしたり、街を楽しんでもらえるように誘導し、高崎「まちなか」全体の賑わいづくりや活性化に貢献する施設を目指している。

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