興味や関心でつながる小さなコミュニティ
ジョウモウ大学
空き店舗をリノベーションした「MOTOKONYA」オープン
震災で雪崩のように落ちた数万個の活版印刷の活字を棚に戻す作業、夜のカフェで人生を変えたマンガについて語り合う、広々とした公園でモールス信号音に耳を傾ける。これらはどれもジョウモウ大学の"授業"だ。
「NPO法人ジョウモウユニバーシティネットワーク」は、群馬のあらゆる場所をキャンパスにして、面白そうなことなら何でも授業にしている市民大学。現在、750人以上が学生登録していて、月に2〜3回の授業が開催されている。
新しいコミュニティづくりを実践しているジョウモウ大学とは一体何なのか。そして拠点となる「MOTOKONYA」も完成して、幅が広がりつつある活動について伺った。
コミュニティスペースとしてオープンした「MOTOKONYA」
老舗や独自性のある企業をキャンパスに
「どこでもキャンパスに」をコンセプトの一つに掲げている。これまでの授業では、中村染工場や創業170年の布団専門店の金澤屋、市外では醤油製造の有田屋(安中市)、四万温泉街など歴史のある企業や町を会場としている。「多くの人が知っていても、実際のものづくりの現場や作っている人を知らないことが多い老舗を『学びの場』とするところに面白さがあると思っています」と学長の橋爪光年さんは話す。
また、全国でも唯一の国産「山バッジ」を製造する高崎金属工芸や、現在ではあまり見られない活版印刷を手掛ける広栄社印刷所など、独自性や希少性のある仕事場も授業会場となる。これらの授業は毎回人気が高く高倍率の抽選となる。
人生に大きな影響を与えた"マンガ"を持ち寄り、読みふける
まちなかの空き物件をリノベーション
10月に、活動の拠点となる「MOTOKONYA」を開設。元紺屋町の旧中山道沿いの空き店舗をリノベーション(付加価値を与えるリフォーム)して、1階をカフェとワークショップスペース、2階をギャラリーとした。
カフェスペースは一日単位で貸し出しを行い、紅茶屋、古本屋、ラーメン屋、雑貨屋などがワークショップなどの開催に合わせて、飲食の提供を行い、週末にはジョウモウ大学の授業や落語会などが開催されている。
「まちなかには魅力的な空き店舗や空き住居が沢山あって、少し手を加えると充分に使えます。地域の方々にも気軽に使っていただけるジョウモウ大学らしい新しいコミュニティスペースを作りたいと思っています」と運営責任者の大宮透さん。
中村染工場では、オリジナル手ぬぐいを染める体験
個人や企業に支えられ、持続可能な運営方法を目指す
一回あたりの授業に掛けるコストは約2万円。学生登録無料、授業参加費無料が原則で、先生への謝礼も基本的にはゼロ。会場もできるだけタダで借りられるところを使う。NPOの運営資金は、個人や企業からの寄付金で賄っている。「なるべくコストを掛けない運営が持続させるポイントだと思っていますが、活動の幅を広げていきたいので、まだまだ皆さまの支援をお願いいたします」と橋爪さんは支援を呼びかける。
"興味や関心でつながる小さなコミュニティ"が、地域に新たなエネルギーを与えるかもしれないと思うと、今後の展開が楽しみになってくる。
参加方法は、ウェブサイトから学生登録
ジョウモウ大学の授業に参加するには、ウェブサイトから学生登録をしなければならない。その後、毎月授業予定のメールマガジンが届き、興味がある授業があればエントリーする。ただし、定員が15〜20名程度なので、定員を超える場合には抽選となる。
●ウェブサイト http://www.jomo-univ.net