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市民も満足する市場へ

　「卸売市場の大きな役割は、生鮮食料品の質・量・価格面における安定供給装置。地域全体の流通量の６割に当たる魚介と青果、８割に当たる花きが、この卸売市場を経由します。早朝からせりにかけられ、プロも納得する食材を適正な価格で卸しています。物流・保管・調整・加工など重要な機能を備え、設備の充実が図られています」と話すのは、高崎市総合卸売市場㈱市場長の池下隆雄さん。市場ならではの新鮮食材を使った寿司屋等飲食店の出店や内容の充実を図り、ショッピングセンター的な魅力を付加するなど、市場の一日を通した活用も考えたいという。

まだ午前11時なのに

高崎市総合卸売市場㈱市場長の池下隆雄さん

　池下さんの案内で市場を歩いてみた。まだ午前11時だと言うのに場内は閑散とし、店舗の人たちも店仕舞いを始める。そんなころあいを見計らい、一般客が買い物する姿もちらほら見られ、結構な掘り出し物を手に満足顔だ。

　「卸売業者や仲買人など、ここを仕事場にしている人たちの業務を妨げない時間帯なら、一般の人の買い物は問題ありません。食堂にももっと足を運んでほしいです」とのこと。トラック運転手や近隣住民の方も朝食を市場の食堂を利用しているなど、すでに活用している方も少なくない。

魅力たっぷり市場の寿司店

鮮度が自慢の握り寿司

　マグロ・鮮魚の専門店が直営する寿司屋は、さすがにネタの鮮度が抜群。海鮮丼680円、握り寿司上880円、本日のおすすめ握り980円…と価格もリーズナブルで、浜辺の町の庶民的な食堂といった感がある。食事だけでも市場を訪れる価値は大。持ち帰り用も販売されているので、足を運んではいかが？

初めて聞く『ひなどりの卵』とは

　東一条通りにある鶏卵店で見つけた『ひなどりの卵』…群馬中央鶏卵店の主人に聞くと、卵をうみ始めて一カ月以内の若鳥の卵で、サイズは通常のＳよりも小ぶり。体をつくるために良質の餌を与えられるので、卵の栄養価が高いという。他に平飼いの『自然卵』や、黄身が二つ入った『二黄卵』などがあり、ニコニコ感謝デーには袋詰めされたものが200円で売られる。

「魚さばき」は無料…水産仲卸売場

　20軒以上の水産仲卸が軒を連ねる一角は、海なし県人にとって、テンションが上がる場所。大粒のはまぐりや一匹丸ごとの鮮魚が並ぶ。うすい紅色をしたメバルは、煮付けや塩焼き、唐揚げにすると美味。暖かい春には、小骨が少なくさっぱりした低カロリーのたんぱく源としておすすめという。丸ごと一匹購入しても、場内の「お魚さばき処」で無料でさばいてくれるので安心。知らない魚を見かけても、気軽にお店の人とちょっとしたやり取りができ、魚の知識が広がり旬を感じられる。

　毎月第２・第４土曜日に開催されるニコニコ感謝デーには、切り身が豊富に揃う。マグロ専門店では中落ちを一袋で売ったり、味噌漬けやオイル漬けにしたものをパックにして低価格で販売したりと、一般向けの目玉商品はお得感いっぱいだ。

市場長も太鼓判

　西一条通りの食肉店は、ニコニコ感謝デーにお客さんの列ができるほど人気。「自社で生産するオリジナルブランド『上州もち豚』の直営販売店ですからね。肉質がきめ細かくて脂身も甘みがあります」と、池下さんも太鼓判を押す。

　その向かいにある自称"高崎で一番売れている漬物屋"の店先で、池下さんが好物を発見。「この辺ではなかなか手に入らない。これで一杯やるのが最高」と手に取ったのは、秋田の名産品『いぶりがっこ』。秋に収穫した大根を火棚に吊るしていぶし、米ぬかでじっくり樽漬けした秋田伝統の味。こんな未知との遭遇やユニークな人たちが、市場にはあふれている。

黄、赤、緑…旬が鮮やかに輝く青果仲卸売場

鮮やかな色の果物が並ぶ

　いよかん・はっさく・甘夏・ポンカン・ネーブルなど春先に出回る柑橘類は、市場の青果卸売場に様々な種類が並ぶ。「最近初めて食べて、とてもおいしかった」と池下さんがおすすめなのが『瀬戸香』。実は袋ごと食べられ、さわやかな香りが強く、柔らかくて多汁。

市場の新たな展開に期待

　「市場内に飲食店がもっと増えれば、お互いに切磋琢磨し合って注目度も上がるはず。知恵を出し合い、市場の魅力を引き出していきたい」と話す池下さん。新しい市場の姿を求めた動きはすでに始まっており、今後の展開が楽しみ。大手を振って市場の買い物が楽しめる「ニコニコ感謝デー」は、家庭用に小分けされた商品が充実して満足度１２０％、超おすすめだ！