株式会社清水増
(2009年7月)
株式会社清水増
店内にはお祭り用品がズラリ
清水一行社長
見事に転身!繊維卸からお祭り専門店へ
株式会社清水増
“お祭り”といえば夏。今年も7月下旬から8月にかけて、県内各地のお祭りが集中する最盛期がやってきます。
お祭りの前には、やはり準備が必要。当商工会議所にも「お祭り用品を取り扱っているお店はありませんか」などと電話の問合せがあります。
今回は、お祭り用品専門店として県内外に名を馳せている「(株)清水増」に、本紙編集副委員長の宮崎洋さん((株)宮崎社長)と季節品でマーケットの小さいお祭り用品専門店へ繊維卸業から業態変更をされ、県内はもとより近県からのお客さんの需要に応えているお話を伺った。店頭には大きな御神輿やまつり半纏が飾られ、通りから店内を見ると「お祭り用品」を取り扱っている店というのが一目瞭然だ。
●繊維卸から業態変更
「お祭り専門店といっても、お祭りの時期以外は、寝装品や呉服、名入のタオルなどを取扱っています」と清水さん。7月中旬から2週間はお祭り関連の注文や問合せの電話、来店のお客さんでてんてこ舞い。お祭りが終わるとぱったりと静かになってしまうという。
昭和22年に先代の父増造さんが、鞘町で繊維卸の問屋業を始め、昭和42年に卸商社街が出来たときに現在の地に移転した。一行さんは昭和48年に高崎に戻り家業に従事した。昭和55年頃、総合繊維卸の問屋として競争相手も多く、これからの柱となる商材を考えていた。同業の問屋でもお祭り用品は売られていたが、季節品でメインの商材ではなかった。そこで他の問屋では注目されていないお祭り用品に目をつけ、柱の商材として取り扱い始めた。
平成5年に店舗を改装した時、お祭り用品を前面に出してPRをした。県内各地の小売店や自治体へお祭り関連商品を取り扱う店として営業に奔走した。店頭のディスプレイも御神輿やまつり半纏を通年飾った。「高崎に新しいお祭り用品の店が出来たのかと思った人も多かったようだ。その結果、お祭り専門店として認識されるようになった。この時期を逃していたら今の清水増はなかったと思っています」。
お祭り関連商品の売上は月によっては、90%~95%になる。同行した宮崎さんも清水増さんはお祭り用品専門店と思い込んでいた一人だ。
●地域を意識した販売戦略
お祭り関連商品の卸と小売の関係を聞くと、小売は数%程度、卸がほとんどと予想外の答えが返ってきた。問屋のなごりもあるのか今でも卸のお客さんが多い。
各地で開催されるお祭りは地域の行事。お祭りの準備は地域の洋品店や呉服店などが、その時期に小売店として関わることが多い。もともと繊維卸で問屋と小売店の関係があり、小売店もお祭り用品は通年お店に置いておく商品ではないため、時期になると清水増へ仕入れにやってくる。
半纏などは名入れする別注の割合が多く、1枚単位ではなく、小売店が間に入ってまとめて注文してくれる。卸であれ小売であれ、お客さんの買いやすい形で買ってもらえればと、卸・小売にこだわってはいない。
専門店として県内に名を馳せた結果、今まで地域でお祭り用品の調達を頼まれていた得意先の小売店がやめてしまっても、新たに手配を頼まれた小売店も、お祭り専門店として認知されている清水増に仕入れにくる。
同業の問屋もマーケットの小さい隙間的な商品のため取り扱うところが減少した。半纏から小物、御神輿など一ヶ所でお祭り用品が全て揃うお店として、県内に競合店はほとんど無いと言う。
●お祭りデパートのアドバイザー
清水増で取扱うお祭り用品は、半纏や小物だけではない。御神輿、山車の飾り、獅子舞の衣装や獅子頭までトータルで揃うのが強み。
店頭に飾ってある大型の御神輿はレンタル商品。企業単位でお祭りに参加するときなどにレンタルされる。今年は景気のせいか引き合いは少なくなっている。御神輿の注文は小型のものが年に数個、町内の育成会などから注文がある。
清水さんは忙しい時期でも、時間をとって各地のお祭りに写真を撮りに出かける。お祭りの写真はアルバムに整理してお客さんへのアドバイスに使う。カタログもあるのだが実際に御神輿を担ぐ人達の粋な姿は、カタログでは伝えられないインパクトがある。
「前身頃、後見頃はこんなのはいかかですか」と、接客というよりはアドバイスをするのが清水さんの役割。商品知識を信頼してアドバイスを求めに来るお客さんも多く、お客さんに説明をして納得してもらって注文していただくのが清水増のやり方だ。
●競合が無くなることは勝ち残るということなのか
お祭り用品は誰かがまとめて注文することが多い。小売店がまとめれば卸となり、町内会の担当者がまとめれば小売となる。自治体からの直接注文は卸なのか、小売なのか微妙なところだ。
業態変更を意識してやってきた訳ではないが、商材を絞ってお祭り用品に特化したのが現状。「専門店として結果的に残っただけ」と清水さんは言うが、何もしないで残ってきた訳ではない。
景気の影響か、お祭り用品の売上も例年よりは減少気味だが、景気が悪いといってお祭りがなくなるわけではなく、今年も清水増の忙しい時期がやってくる。
株式会社清水増
所在地:高崎市問屋町1-5-8
電 話:027-362-3035
高崎商工会議所『商工たかさき』2009年7月号