鉄道の守り人
有限会社 あさひ
(2013年1月)
老朽化した電柱も取り替える
鉄道事業を支える専門企業
(有)あさひは、鉄道事業に特化した電気工事業を営んでいる。電車に電力を供給するためのトロリー線(電車線)の敷設工事や、それを繋ぐ電柱の設置などを行う専門企業として、50年近い歴史を誇る。
毎日が過酷で危険な作業
車両の集電装置と接触するトロリー線は、摩耗が激しいので、安全のためには定期的な交換が不可欠。あさひでは、上越線、信越線、吾妻線を中心に、トロリー線の交換工事を請け負っている。運行スケジュールに支障を来してはならないため、工事のほとんどが夜間に行われる。夕方現場に向かい、工事終了後、明け方4時頃に帰社、次の工事に必要な機材を準備し、帰宅。再び、夕方出社する。他部門のメンテナンス工事にも影響を与えるため、工事の遅延は許されない。よほどの悪天候でない限り、風雨の中でも作業を強いられる過酷な業務である。
作業車の後部に線路用車輪が格納されている軌陸車
高所での作業に加え、1,500ボルトの高圧電流が流れるトロリー線の交換は、まさに危険と隣り合わせ。わずかな失敗が大きな事故を招くとともに、鉄道の運行そのものに影響を与える可能性もある。『安全で確実な作業』を大前提に、綿密な計画と他のメンテナンス工事との連携のもとで作業が進められている。
社員全員で乗客の安全を守り続ける
社長を含む作業員9人総出で現場に臨み、一晩で作業できる範囲はおよそ1,000m。連日に及ぶこうした作業が支えとなって、鉄道の安全は確保されている。「トラブルや事故で電車が停まってしまった場合、そこには必ず困惑したお客さんの顔があるはずです。そのようなリスクを減らし、『安全で快適な運行』の一助となることが私達の使命だと思っています」と話す松永社長。
代表取締役の松永勝さん
昨年の東日本大震災では、桐生駅で電柱が倒れ、両毛線が不通状態に陥った。同社は復旧作業に尽力し、早期の運行再開を果たして、震災復興に大きく貢献した。
根付く誇りと情熱
過酷な労働現場を嫌う若者が多い昨今、あさひの若手社員たちは、先輩社員の背中から使命の重さを感じ、安全第一のもと、業務に取り組む。鉄道の守り人としての誇りと情熱は、若い世代へ脈々と受け継がれている。
有限会社 あさひ
代表取締役:松永 勝さん
高崎市下佐野町909-3
TEL&FAX:027-346-3188