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食の喜びを伝えて

　新鮮な食材と体に優しい味付けのランチとカフェメニューをそろえた万工房・陽だまり。オーナーの金田一幸江さんは元看護師。東京の病院に20年勤めたキャリアの持ち主だが、親御さんの介護や子育てに専念するためご主人とともに群馬へ帰郷。その後、ご自身が病気を抱えた時、薬の副作用で味覚がなくなったという。少しずつ体調が良くなり、味覚が回復した時、「普通に食べられることの喜び」を実感。料理好きな幸江さんは地域の人が集えるカフェを作ることを決心。５年前に万工房・陽だまりをオープンした。

新鮮野菜いっぱいのランチ

　予約制のランチは、サラダと惣菜が何種類も乗ったワンプレートとご飯、味噌汁、デザート、コーヒー付で1100円。新鮮野菜を豊富に使った料理で塩分、油分も控えめ。食材の持ち味を生かした手作りランチと好評だ。「良い食材を探していたところ、じゃあ俺が作ろうと減農薬、無農薬の野菜を兄が作ってくれています」という幸江さん。「畑で今日できた野菜を使うので、同じメニューは出せないんですよ」と笑う。当初はケーキやコーヒーのカフェメニューだけだったが、お客さんの要望に応えるうちにランチメニューが定着した。

心癒せる場所に

　「陽だまり」には自然と人が集まる魅力がある。それは料理だけでなく、幸江さんやスタッフの人柄、店の雰囲気だろう。「ここへ来て元気になった、また頑張れますと言ってくれるお客さんがたくさんいて、何より嬉しい」と幸江さん。「一日一日、今を精一杯生きることが幸せ」そう話す幸江さんは、しなやかな強さを持っている。メニューボードに添えられた“昨日のことは悩まない、明日のことは心配しない、今日、今、全力”の言葉に、幸江さんの笑顔の秘密を見つけたような気がした。