原木栽培の希少な“本しいたけ” 長谷川椎茸園
/(吉井町小串)  

(2015年4月1日)

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肉厚でジューシー! 通称“山あわび”

もうすぐ100年の椎茸園

 長谷川椎茸園の営業部長3代目のヤギのウーちゃんこと“ウー次郎”を子どものようにかわいがる長谷川拓也さんも同園の3代目。会社員から卸問屋として独立、先代が倒れ、40歳の時に跡継ぎに。当初、「一生懸命やればどんな仕事も関係ない」と自分に言い聞かせたと言うが、その開拓精神と時代を先読みする眼はすぐに実を結んだ。それまで、冬場の農閑期を利用していた椎茸栽培を、武蔵野丘陵で原木に植菌。高速道を使って原木を吉井へ移送、通年栽培できるようにした。最盛期、長谷川さんは3日に1tの椎茸を出荷し、椎茸は町の特産品に成長した。藤岡ICを利用するドライバー向けの直売所も大当たり。営業先も京浜方面に加え、新潟や長野にも開拓し、長野オリンピックの好景気の波にも乗った。



原木栽培の「本しいたけ」

 同農園の「本しいたけ」とは原木栽培の椎茸のこと。おがくずによる菌床栽培が主流の昨今、原木で17ヶ月かけてゆっくり育てた「本しいたけ」は、椎茸特有の香りが強く味は濃厚。掌サイズの通称「山あわび」は、「フライにすればまるで肉のよう。味噌汁や天ぷら、焼いてマヨネーズを付けても美味しい」。原木の厚い皮を破って出てきた椎茸は真ん丸ではないが「食べ物はかっこじゃない、味でしょ」と長谷川さん。原木は栃木の田沼や佐野から仕入れ、セシウム検査をクリアしたものを使っている。



ハングリー精神が仕事の原動力

 幼少の頃から、山登りに親しんできた長谷川さんは海外で岩登りの経験もある。当時使っていたアイゼンやハンマーが今も店先に吊るされている。山で培ったハングリー精神は、椎茸一本で時代を先取りしてきた長谷川さんの原動力だ。「自然相手ですから失敗もありましたが、立ち直る努力が必要ですね」。直売所の裏には原木が整然と並び、17ヶ月後の出番を待っている。「椎茸を子どものように育ててきましたが、今は、椎茸に面倒見てもらっています。朝起きてやることがあるのは良いことですね」と笑う。

 「吉井の椎茸も風前の灯。私もあと何年やるか分かりませんが、生涯現役で頑張ります」。貴重な原木栽培の「本しいたけ」。一日も長く食せられることを願うばかりである。

店名・名称 長谷川拓也さん  長谷川椎茸園
住所 〒370-2111 高崎市吉井町小串917
電話 電話・FAX 027-387-5365
携帯電話 090-3337-0697
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