午後9時にはやめよう
(2015年11月16日)
SNSで中学生が自主ルール
インターネットのSNSが原因となるトラブルやいじめを防ごうと、高崎市内の中学生代表50人が14日にルールづくりを行った。SNSを利用する場合は、午後9時までを原則とし、「個人情報を書き込まない。相手の立場になって送信しよう。家族のルールを決めよう」を使い方ルールとして提言にまとめた。
このルールづくりは、高崎市教育委員会が進めるいじめ防止プログラムの一環。市教委では、いじめの未然防止には生徒自らが主体的に考え、行動することが重要と考えている。この日は、各校の生徒会役員男女2人、合計50人によるリーダー研修会として開催し、各生徒会が持ち寄った課題をもとに、SNSのトラブルやいじめを防ぐルールづくりがグループ討議された。グループ討議では、高崎経済大学附属高校生徒、群馬大学生が進行やアドバイザーをつとめ、必要に応じて先輩としての意見も提起した。
またこの日の研修会ではNPOぐんま子どもセーフネット活動委員会飯塚秀伯理事長による、高崎市内の実態報告、高崎市学校保健会会長の藤崎裕医師がまとめた健康への影響についても講演された。
これまで、市内の中学校では、SNS利用のルールづくりが学校ごとに進められ、おおむね午後8時から10時までなどとなっていた。一方、他校生徒とSNSを行う生徒もおり、全市的な共通ルールが必要であることも浮かび上がった。この提言を各校の生徒会が持ち帰り、生徒同士の議論を深めるなど、浸透をはかることになっている。今回の提言は、生徒、家庭、地域の全市的な共通理解を促進し、SNSによるトラブルやいじめの抑止力となりそうだ。
●問題点は生徒自身も自覚
子どもたちの生活の中には、インターネットが浸透し、既に小中学生がSNSを使う必要があるのかを議論する段階ではなくなっている。NPOぐんま子どもセーフネット活動委員会飯塚理事長によれば、今年1月の調査で、高崎市内中学生の50%がSNSを利用していることがわかった。利用している生徒のうち、半数が夜11時以降もSNSの返信をし、深夜に及ぶこともあった。
飯塚理事長は「SNSによって生活は必ず変化する。悪い変化を最小にすることが大切」と語る。
一方、生徒自身もSNSよりも家庭学習や家族との時間、友達と直接話すことなどが大切と考えている。またSNSを使う場合も家族との約束やルールを守っていこうとする気持ちも強い。SNSによる睡眠不足や成績が下がってしまったことへの反省も持っている。
SNSでは情報が広がっていくスピードが速く、自分の知らない人に伝わっていたり、広がってしまった発言は取り消しができないことの恐さを経験している生徒もいるようだ。
●生徒によるルールづくりに期待
高崎市教育委員会の飯野教育長は、SNSのルールづくりについて「教育委員会が決めようと思えば決められた。生徒の皆さんに提言してもらえたことが大きな成果。市内の生徒がしっかりとしたルールを持ってくれる」と語る。飯野教育長は、生徒同士の議論を重視し、自分の考えがしっかりと持てる、自分の考えが言えることが、生徒の成長につながり、いじめ防止に役立つと考えている。
●保護者の見守りが大切
高崎市学校保健会の藤崎会長は、子どもたちの成長ホルモンの分泌や睡眠のリズムなどから、午後11時には就寝する生活習慣が望ましいとしている。研修会を見学した市P連の保護者からは「何時までと決まるのかヒヤヒヤしていた。午後9時は妥当と思う。決めたことを子どもたち一人ひとりが守っていくためにどうするか。保護者側もどう見守っていくかが大切」などの意見があった。
ルールがすぐに守られないとしても、SNSはメッセージを送り合う相手がいないと成立しないので、参加者が減ればおもしろくなくなって、過剰な利用が抑止されることも見込める。
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