歴史博物館が内容も充実して本格オープン

(2017年07月24日)



“古墳時代の群馬の空気を吸ってもらう”展示

群馬県立歴史博物館は、今年7月15日(土)にグランドオープンを迎えた。同館は、建物の老朽化が原因で国重要文化財を損傷してしまうという事故を起こしたことから、平成24年に長期休館し、およそ24億円を投じて改修工事を進めてきた。壁や床等の内装材に有害物質が発生しないものを使用したり、作品を保護するのに気密性の高いエアタイトケースを導入したりと、必要な環境を整えてきた。昨年7月23日にプレオープンし、一年間を通じて24時間集中管理のモニタリングシステムで館内の温度や湿度のデータを収集してきた。その結果が良好だったことから、文化庁より重要文化財の展示許可を得て、本格オープンするに至った。

右島和夫館長は「『綿貫観音山古墳の世界』と題した収蔵展示では、群馬ならではの“東国古墳文化”を伝える質の高い資料をダイナミックに展示しています。韓国や中国の歴史学者も注目するほどの当館のお宝をご覧いただけます」と自信をみせる。

同館近くにある綿貫観音山古墳は、盗掘に合わなかった石室から、国内唯一の埴輪「三人童女」をはじめ、形象埴輪や東日本屈指の豪華な金銅製の馬具などの副葬品が当時のままの状態で残っており、そのほとんどが当時の工芸技術の到達点を示すほどのもの。綿貫観音山古墳の出土品275点は、国指定重要文化財となっている。

こうした展示品の質の高さはもちろん、それらが語る歴史の意味を、観覧者にしっかり伝えようとする視点を持った展示内容に、歴史博物館の意気込みが感じられる。

 

特別収蔵品展『綺羅美耀(きらびやか)――武士の時代の名宝』

企画展示室では、8月31日まで特別収蔵品展『綺羅美耀(きらびやか)――武士の時代の名宝』を開催している。

企画展示室のスペースの拡大は、改修工事でこだわったところ。ゆったりとしたスペースで展示資料の持つチカラを十分に味わってほしいと、従来のほぼ2倍の広さ約600㎡が確保されている。

“綺羅美耀(きらびやか)”とは、戦国大名の北条氏が、軍勢を集める際に発した古文書の中に登場する語句で、きれいに身なりを整えて参陣することを求めたという。刀剣や甲冑などの武具、古文書、仏像、絵画など、中世及び近世の武家社会に育まれた教養や美意識の一端を垣間見ることができる。

前期と後期で、一部展示品の入れ替えが行われるが、「太刀 銘了戒」(世良田東照宮蔵)、

「出山釈迦図」(長楽寺)など国指定重要文化財もある。また、前橋藩酒井家の最後の藩主を祖父に持つ酒井抱一の「秋草花卉図」や谷文晁の「孔雀牡丹図」の優れた極彩色の絵画も堪能でき、まるで美術館に来たようなお得感がある。

人気のミュージアムショップも併設され、観覧者のお楽しみが増している。

 


■県立公園群馬の森 群馬県立歴史博物館
高崎市綿貫町992-1
開館時間 9:30―17:00(入館は16:30まで)
休館日:月曜(祝日の場合は翌日)
観覧料:常設展示 一般300円/大高生150円/中学生以下無料

※今回の特別収蔵品展は企画展ではないので、常設展示の料金で観覧できる。

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