珍しい人形土器が出土

(2016年06月10日)


若田坂上遺跡から2点

 高崎市の八幡霊園拡張工事に伴う若田坂上遺跡の発掘調査で、高崎市教育委員会は弥生時代後期(2世紀~3世紀後半)の人形土器(ひとがたどき)2点が発見された。
 高崎市教委によれば、人形土器は人体の頭部や手を表現した特殊な容器で、埋葬儀礼に使われたと考えられている。
 人形土器が見つかっているのは、これまで長野県内で8例、群馬県内で9例となっている。中部高地弥生文化特有のもので、分布は長野・群馬に限られているという。これまでの出土の多くは破片で頭部全体が残るのは4例しかなく、状態の良い頭部が2個まとまって発見されたのは初めてとなる。
 人形土器は、礫床墓(玉石を敷き詰めた上に木棺を安置)の近くから出土した。縦9・4cm×横8・0cm×奥行き6・5cmで鼻孔があるものと、縦11・2cm×横10・5cm×奥行き6・8cmで耳朶に小穴が空いているものの2点。中空構造で容器状になるものと考えられる。
 縄文時代には土偶、古墳時代には埴輪があるか、この二つの時代に挟まれた弥生時代は人体を表現した造形が乏しい時代とされている。市教委では、今回の出土品は、当時の実像や宗教観をうかがうことのできる貴重な資料とし、2つの土器の形の違いなど詳細に検討していきたいとしている。

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