のぞみの園の避難者が福島帰還

(2016年04月28日)

花束を受け取る友愛会の寺島利文理事長

5年間の支援に感謝

 平成23年3月に発生した東日本大震災に伴う原発事故により、福島県双葉郡富岡町の障害者施設から高崎市寺尾町の「国立のぞみの園」に避難していた社会福祉法人「友愛会」の人たち約100人が、5年間の避難生活を終え、元の施設と同じ郡内にできあがった新しい施設へと、27日に帰ることができた。
 「のぞみの園」に避難していた友愛会の人たちは、障害者68人と職員37人で、一行を乗せた2台のバスを、「のぞみの園」の人たちなど280人が見送り、門出を祝福するとともに別れを惜しんだ。
 友愛会の寺島理事長らに「のぞみの園」の代表から花束が手渡された。寺島理事長は「高崎の方々にあたたかい支援をいただき感謝しています。話したいことはたくさんあり、5年間のことが頭の中を巡って言葉になりません。感謝の一言です。のぞみの園での思い出を大切にしていきます。障害を持っている人たちの豊かな生活のため福島に帰ってからが本当のスタートです」と、感慨深く話していた。5年の年月を経て、友愛会の職員の中には、子どもの進学などのために、福島に戻らず、高崎にとどまる人もいるという。
 もとあった友愛会の施設は、原発から6km圏内で、事故発生当時、着のみ着のままで緊急避難を余儀なくされた。利用者を離れ離れにせさたくないという強い思いから、分散せずに受け入れてくれる避難先を探し、地震から約1カ月後の4月15日、高崎市の国立のぞみの園に決まった。
 友愛会が福島県に戻るためには、新しい施設用地、職員の確保など課題を一つひとつ解決しなければならず、見守っていたのぞみの園の遠藤理事長は「困難に負けない友愛会の人たちは私たちの模範です」と語る。友愛会の新しい施設は、同じ双葉郡内の広野町の海沿いの場所に建設できた。遠藤理事長は、「5年間をともにし、本当に良かったと思う気持ちとともに別れのさびしさも感じています。今回のケースは、大きな災害の時、障害を持った人たちの避難や日々の生活をどう保証していくか、良い事例になると思います」と話した。

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