第30回映画祭が閉幕
(2016年04月11日)
映画を堪能した16日間
3月26から16日間にわたって開催されていた高崎映画祭が4月10日に閉幕した。
今年は、群馬交響楽団と華原朋美さんによる第30回記念演奏会、「ここに泉あり」に主演した岸恵子さんの特別賞や人気俳優オダギリジョーさんが登壇した授賞式で華やかに開幕し、高崎に流れる音楽文化と映画文化の価値をあらためて検証した。
最終週は、「DoressingUp」、「SLUM-POLIS」など独自の世界観を鋭く描いて鳥肌が立つような作品、週末は上田市を舞台にした「過ぐる日のやまねこ」、足利市を舞台にした「ディアーディアー」、玉村町と高崎市で撮影した「お盆の弟」、岡山県真庭市の山中一揆を描いた時代劇「新しい民」などが上映され、新進若手監督の意欲的な映画づくりと地方都市の創造性に大きな可能性を感じさせた。またトマス・ピンチョン原作のアメリカ映画「インヒアレント・ヴァイス」の上映後は、ピンチョン作品を翻訳し、ポップカルチャーに造詣が深い高崎在住のアメリカ文学者・佐藤良明さんが映画解説を行い、映画の背景となる1970年代のアメリカ文化を読み解いた。
最終日10日のエンディングはトークイベント「日本映画のいまと未来」と「新しい民」の上映で締めくくり、来年の高崎映画祭への期待を膨らませた。
トークイベントでは、映画祭プロデューサーの志尾睦子さんを司会に、桑原広考さん(『新しき民』プロデューサー)、第30回新進監督グランプリ受賞で岡山から駆け付けた山崎樹一郎監督(『新しき民』)、俳優の岩瀬亮さん(『ひと夏のファンタジア』出演)、3月まで大阪芸大生で若い才能を示した二宮健監督(『SLUM-POLIS』)、菊地健雄監督(『ディアーディアー』)が登壇。同日午前に舞台あいさつした大崎章監督(『お盆の弟』)も飛び入り参加し、高崎映画祭だからできる個性的な顔ぶれとなった。映画の世界に飛び込んだきっかけに始まり、映画制作、映画評論、自主製作映画の可能性、宣伝とインターネットの情報発信など話題が広がって盛り上がった。新しい映画創造が行われる一方、上映する機会の不足などの課題も指摘された。