小さな巨匠に成長した三日間

(2016年08月5日)

井上邸での撮影
松永監督を中央に参加した子どもたちと映画祭スタッフ

高崎映画祭こども映画教室

 小学生が映画づくりを体験するワークショップ「こども映画教室」が7月29日から31日までの3日間、高崎市内で行われた。主催は高崎映画祭事務局。
 この「こども映画教室」は、金沢市でミニシアターを主宰する土肥悦子さんが企画運営する小学生向けの映画制作ワークショップで、今春の高崎映画祭では土肥さんの講演会が行われた。土肥さんの講演を受け、高崎映画祭事務局は、高崎の子どもたちにも映画づくりのすばらしさを体験してほしいと夏休み開催を決めた。参加者を募ったところ多数の申し込みがあり、24人を抽選した。群馬県内での開催はこれが初めて。
 過去に全国で行われたワークショップでは是枝裕和監督ら第一線の映画人が子どもたちを薫陶しており、今回は昨年、日本映画監督協会新人賞を受賞した松永大司監督を招いた。
 参加した子どもたちは6人ずつ4グループに分かれ、3日間で各グループ1作品の短編映画を完成させる。グループには低学年から高学年まで含まれ、自作自演の映画づくりを3日間で行い、最終日夕方に完成作品を電気館で上映した。
 撮影場所は中央銀座や城址公園、井上邸などの、まちなか。子どもたちはカメラや三脚を持ち、撮影場所を探して歩く。大人のスタッフは見守るだけで、全て子どもたち自身の手で作り上げるのが、このワークショップの特徴だ。
 意見のぶつかり合いや思うようにできない焦り、悔し涙の中で、何度も撮影や編集作業をやり直しながら、子どもたちに絆が生まれた。最終日の上映会は、達成感と自信に満ちあふれた表情の子どもたちがステージで舞台あいさつした。
 作品は松永監督も舌を巻くほどの出来栄え。自由な発想とプロ顔負けの演出が盛り込まれ、驚くほど魅力にあふれた作品に仕上がっている。松永監督も子ども対象のワークショップは初めてで「ぼくには到達できない映像がちりばめられていて想像を超えていた」と話す。
 「映画の作り方ではなく、自分のやりたいこと、伝えることを子どもたちと3日間考えてきた。暑い中で子どもたちはがんばったので、それで十分だとも思ったが、それで満足なの、もっとおもしろいものができると子どもたちに投げかけた。悔しくて泣いたこと、がんばろうと思ったこと、一つひとつのことを大切にしてほしい」と子どもたちの成長をたたえた。
 参加した子どもたちからは「楽しかった。またやりたい」という言葉が相次ぎ、「映画監督になりたい」という子もいた。上映会に訪れた富岡市長は「映画に対する子どもたちの心を大切にし、応援していきたい」と話した。

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