富岡市長・串田会頭 新春対談2024
(2024年01月23日)
高崎はもっとすごい都市になる
~コロナ後のまちづくり本格化~
■富岡賢治・高崎市長
あけましておめでとうございます。去年、一昨年とコロナで全国的に都市が沈没してしまいそうでしたが、こういう時こそ頑張り時だと考え、活力ある取り組みを実施してきました。
■串田紀之・高崎商工会議所会頭
あけましておめでとうございます。昨年5月に新型コロナウイルス感染症が5類感染症へと移行し、ようやく制限のない経済活動が行えた1年であったと感じています。
高崎のメディア露出が増加
■富岡市長:地方都市の中で高崎の相対的な地位は上がってきたと思います。市民の皆様にはビジネスをはじめ、お祭りや花火大会などのイベント、文化活動を積極的にやっていただきました。テレビなどのマスコミでも高崎が取り上げられることが多かったと思います。高崎の露出度が増えてきました。
■串田会頭:最近ではテレビをつけると、情報番組やバラエティ番組などさまざまな番組で高崎市の情報を目にする機会が増えました。富岡市長のリーダーシップによるメディア戦略が奏功していると思います。
■富岡市長:高崎では映画やテレビドラマなど毎年70本ほどの撮影が行われています。高崎のまちはとても協力的でフィルムコミッションの支援も手厚い。テレビ局のプロデューサーに高崎を取り上げた理由を聞きましたら、「高崎は地方都市の中で目立つ」と話していました。
■串田会頭:今後はこれまで以上に都市間競争が激しくなると思いますが、選ばれる都市になるためには、先ずは高崎市という都市を認知してもらうことが重要だと思います。
■富岡市長:高崎芸術劇場や高崎アリーナに世界のトップアーティスト、アスリートが来るようになりましたが、共通して高崎はビューティフルと言います。高崎はビジネスが盛んで、人通りもあり、それでいて、まちが整理整頓されていてきれいだと言います。市民、環境保健委員の皆様、企業の皆様にがんばって活動していただいている結果と思います。
■串田会頭:より多くの方に高崎を知ってもらい、高崎のブランド力が向上することで、交流人口の増加や移住促進へとつながり、経済界にとっても大きなプラスになると、期待しております。
■富岡市長:高崎は元旦からニューイヤー駅伝、高崎だるま市と続き、とてもにぎやかで、新幹線を降りた人はとても驚かれるようです。高崎の活力を印象付け、次に人を呼ぶ材料になります。高崎まつりも同じで、コロナ禍での花火大会は批判がありましたが、こういう時だからこそやるんです。高崎は面白いまち、高崎へ行ったら何かある、高崎をエキサイティングなまちにしていきたいです。
■串田会頭:昨年11月には95回目となった「高崎えびす講市」を開催しました。こちらもコロナ禍前同様の制限なしでの開催となり、たくさんの方にご来場いただけました。当日は私もまちなかに行き、多くの人で賑わっているので、大変うれしく思いました。
■富岡市長:一方で高崎のまちは特徴的な叙情性にかける面もあります。歌もなくて残念です。あっても高崎を他の地名に替えても、成立してしまいます。こうした叙情性は政策的に意図して行うものではないと思いますので悩ましいです。
行動する高崎商工会議所
■串田会頭:飲食業界は新型コロナウイルス感染症の影響を大きく受け、その影響はまだ続いています。高崎商工会議所は、昨年は「高崎はしご酒」という事業を新しく行い飲食店70店舗が参加しました。大変にぎわって楽しく、くせになると思いました。今年も継続し、まち全体がにぎわうイベントにしていきたいです。
■富岡市長:高崎の勢いが全国でも目立ちます。高崎商工会議所は行動する会議所で、いろいろな事業を自ら実施し、しかも行動が早いです。高崎市役所からお願いすることもすぐに取り組んでいただいていますし、お知恵も出していただき大変ありがたい。高崎のような商工会議所はあまりないのではないでしょうか。
■串田会頭:高崎商工会議所では、日々、管内事業者の皆様から経営に関する様々なご相談に対応しております。とりわけ、コロナ禍が明けた経済活動の活発化を見据え、事業展開への支援を求める声が多くなっており、事業者の皆様に寄り添った支援を実施しております。
■富岡市長:補助金などの制度が次から次へとたくさん動いていて、企業の方も何が利用できるのかわからなくなっています。そういう時に、役所にはあまり相談には来ません。ざっくばらんに相談できる窓口を作ってくれるように商工会議所にお願いし、鞘町に「まちなか経済情報センター」を開設していただきました。
■串田会頭:まちなか経済情報センターは、創業相談なども多く、補助金の利用などもわかり、オープンな雰囲気で非常に重宝がられています。開設当初は新型コロナの対応に追われておりましたが、その役割も一服し、今年度より地域振興課を移設し、通常の中小企業支援と中心市街地の活性化に全力で取り組んでいます。また高崎スズランの建て替えが進むにつれ、周辺の空き店舗への出店意欲が旺盛となっており、それらの相談も増えていると聞いております。
■富岡市長:高崎は国際協力機構(JICA)と日本貿易振興機構(JETRO)の事務所を誘致しています。県内での激しい誘致争奪戦があり、高崎商工会議所にも応援していただきました。JETRO職員の方にもまちなか経済情報センターに出向してもらっています。高崎市からも商工観光部の職員が出向いています。
■串田会頭:会議所内に経営SOS相談所があり、高崎市と連携し経営者への支援を行っています。当座の資金繰りに困った場合など、専門家による経営のアドバイスを行っています。本年も各種専門家や高崎市、金融機関等と連携しながら、中小企業のさまざまな経営課題に対する支援を行ってまいります。
■富岡市長:コロナ融資の返済で経営がこれから厳しくなると金融機関は見ているようですが、事業者のみなさんはがんばっていらっしゃるのではないでしょうか。商工会議所にもがんばっていただき、コロナがあって逆に発展の展望が沸いたと思います。
新たな支援策も続々と
■串田会頭:昨年の9月と11月に創業間もない事業者さんを中心に、高崎駅のコンコースと高崎モントレ―内で物産展を開催し、市民の方々にはお店を知っていただく機会となり、お店の方々には新たなお客様を獲得していただく機会になったと考えています。イベントに合わせて大きなのぼり旗を作るように私から提案し、10基ほど作りまして、商工会議所が全面的に応援していることを訴えています。これから高崎商工会議所ののぼり旗を目にする機会が増えると思います。
■富岡市長:商工会議所がこうした行動することは珍しいのではないですか。会員は何社ですか。
■串田会頭:約4、400社です。
■富岡市長:市内企業の98%は中小零細で、人材の採用も大変だということから若者が市内企業に就職したら10万円のお祝いを電子マネー「高崎通貨」で差し上げる制度を作りました。また社員の方が資格を取得する時に、受検料などの費用がかかると市内企業の経営者の話が耳に入り、企業が社員の資格取得を奨励する際に、1社最高で10万円ですが、支援金を差し上げるようにし、商工会議所に窓口になっていただきました。
■串田会頭:資格取得補助は3年目となり、今年度は172事業所、金額で約1、300万円の申請がありました。企業が仕事を受注する際に求められる資格も増えていますので、この支援事業は事業者の方から大変喜ばれています。従業員のスキルアップを後押しすることで人材の定着に繋げられることを期待しています。
■富岡市長:尽力をいただきありがとうございます。
■串田会頭:昨年はエネルギー価格や物価の高止まりが続き、私ども経営者は従業員の生活を守るために、大幅な賃上げに踏み切った年でもありました。そのような中で、高崎市におきましては、富岡市長がいち早く給与改善に対する奨励金を創設していただきましたので、そのスピーディーな対応に感謝を申し上げます。
■富岡市長:物価対策の支援として、有効な施策は何かと考えました。何と言っても一番は働く人の給料を上げることです。政府は経団連に賃上げをお願いしていますが、地方都市では経団連に入っている企業は少ないですよね。国は地方都市まできめ細かにやってくれるわけではないですから、高崎市は従業員の賃金を上げた企業に対し半額を支援することにしました。非正規などパートの方も含めており、全国にない制度です。
■串田会頭:全国に高崎の技術や技能を知ってもらうために、「高崎市一流技能者顕彰事業」を高崎市とともに創設しました。富岡市長は産業界の要望を理解していただいており、本当にありがたいです。
スマートIC周辺から産業が拡大
■富岡市長:こういう時だからこそ、色々な知恵を出していきたい。高崎も色々な芽が出てきたと思っています。商工業の核になる地域は今までは高崎駅周辺と問屋町が二つの拠点でした。高崎玉村スマートIC周辺に新しい産業エリアができ、スマートICから高崎駅東口に向けて、卸売市場周辺に新しい産業団地を造成しています。
■串田会頭:複合団地にはこれから十数社が進出し、私の会社もその一つです。富岡市長から美しいまちづくりのお話がありましたが、高速道路から高崎への玄関口になりますので、複合団地はきれいに仕上げていかなければと思います。
■富岡市長:高崎の新たな産業エリア、産業の核が増えてきました。これから新しい産業の芽が生長し、花開くでしょう。高崎駅東口の複合ビルも動き始め、発展の芽がどんどん出て来たなと思います。
■串田会頭:高崎玉村スマートインターチェンジは、北関東自動車道や上信越道のジャンクションにも近く、新潟、栃木、長野方面へのアクセスも良好で、この産業団地には物流拠点としての役割を担っていけるものと思われます。団地内の企業の活躍により、今まで以上に高崎市の利便性を県内外に示していくことができるものと考えています。
堤ヶ岡で大プロジェクト始動
■富岡市長:西毛広域幹線道路がもうすぐ開通します。沿線も規制緩和し、帯状の産業エリアになります。群馬地域には戦時中に堤ヶ岡飛行場があり、前橋飛行場とも呼ばれていました。その跡地が農地になっていますが、現在は約半分が耕作放棄地となっており、耕作地も多くが自家用などの小規模な農業です。地形も平らで高崎にも前橋にも近い最高の位置にあり、このまま寝かしたような状態ではなく、IT分野のトップ企業が集積したエリア、小さなシリコンバレー化し高度利用をはかれば、高崎がワンステップ、ツーステップと成長し、群馬県の発展にもつながる。堤ヶ岡飛行場跡地の整備計画は大プロジェクトです。
農地の用途変更を国が認めるのは気が遠くなるほど難しく、高崎市だけではできませんから群馬県に話したところ、山本一太知事と意見が一致し、一緒にやろうということになりました。知事とシリコンバレーへ視察に行き、トップ企業の幹部にも会うことができました。人材供給なども重要で高崎市内は大学もある。住環境や通勤環境なども整備し、無人バスの運行なども話題になりました。この産業エリアを実現するには、国とは相当の闘いになると思います。不退転の決意です。高崎が2ステップ上がる産業エリアができるということで、質の高い大きな雇用が生まれ、ビジネスも集積すると思います。
■串田会頭:富岡市長からは商工会議所も、研究調査してほしいと言われており、去年は先進地として福岡市と札幌市を視察しました。福岡市は粗大ごみの収集や道路補修の要望などにLINEを活用し、効率化しています。札幌市は行政データなどを統合し、新しい活用の創出をはかっています。私は福岡市のLINE活用にとても興味を持ち、高崎市も実用化できれば市民生活も向上すると思いました。
■富岡市長:最先端の事例を民間で研究してもらうことは高崎市全体の盛り上がりにつながり、大変ありがたいです。
市民一丸となって盛り上がる
■串田会頭:昨年、広島と熊本に行く機会がありました。広島はプロ野球チームの広島カープ、熊本はご当地キャラの「くまモン」があります。どちらの地域も市や一部の人だけではなくて、市全体が盛り上がっている、市民の気持ちが燃えていると私は感じました。広島はお店の人もみんな赤いユニフォームを着ています。熊本では、どこにでもくまモンがあります。高崎も高崎市全体で盛り上がっている姿を作っていく必要があると感じました。富岡市長は賑わいの創出に力を入れていますので、理解をいただけると思い、アイデアをお持ちしたいです。
■富岡市長:高崎駅西口では高崎オーパのペデストリアンデッキ下で毎週日曜日におとまちプロジェクトのストリートライブが行われ、若いミュージシャンが演奏しています。商店街の実行委員会がボランティアで運営しています。埼玉県の大宮駅の周辺1㎞は演奏禁止なので、埼玉県や関東圏からも口コミで広がり高崎に来るようになりました。11月にもてなし広場で行われたイベント「拝啓ボウイ様」であいさつをするように言われました。ロックファンの前で不安でしたが、「高崎はロックのまちです。いつでも演奏に来てください」と話したら拍手喝采を受けました。今年は民間の若い経営者が主催し、高崎アリーナ、高崎芸術劇場、Gメッセ群馬で同時にロックフェスティバルが行われます。市役所も応援し、話題性のあるイベントをやっていきたいです。
■串田会頭:ロックフェスティバルは高崎市全体で盛り上がるイベントになればいいなと期待しています。
もっとすごい都市になれる
■串田会頭:高崎のまちは何をとっても平均点がそこそこ高いですよね。おいしい飲食店も何でもあって、しかも平均点が高い。何でもあるから、これならばという特徴的な決め手がなかった。夜のイルミネーションも、高崎も美しいですが、もっとすごいまちがあります。人々の気持ちをがっちりつかむような何か、特徴のある何かが欲しい。そういうまちになればいいと思います。そのために商工会議所もますますアイデアを出していかなければならないですね。
■富岡市長:大事な指摘です。高崎がミニ東京、東京の亜流のようなまちで終わってはダメです。そこから一歩抜け出し、強い個性を持たないといけない。高崎には海の幸とか、何か一つという物がなく、これが昔からの難点でした。
■串田会頭:歴史的に高崎はミニ東京をめざしてきたのでしょうね。
■富岡市長:それはあると思います。そこから先、抜きん出ていくことが必要です。烏川のほとりにフルーツパーラーを作りたいと思い、パティシエを探していますが、高崎はパティシエが少ない。では東京から招へいする、ということはしたくない。工夫して高崎には「これがある」というところまで魅力を上げていくことが最大の課題ではないでしょうか。官民の気合では全国トップだと思いますので、抜きん出るために知恵を出していきましょう。
■串田会頭:今年は富岡市長とともに、にぎわいづくり一本でしっかりとやっていこうと思います。よろしくお願いします。
■富岡市長:今年はコロナが終わって再スタートの年だと思います。よろしくお願いします。
高崎商工会議所「商工たかさき」2024年1月号
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