第37回高崎映画祭 最優秀作品賞・最優秀監督賞
(2024年01月18日)
最優秀作品賞 『せかいのおきく』阪本順治監督
最優秀監督賞 外⼭⽂治監督
最優秀監督賞 ⾜⽴紳監督
『茶飲友達』 © 2022 茶飲友達フィルムパートナーズ
『雑魚どもよ、大志を抱け!』 © 2022「 雑魚どもよ、大志を抱け!」製作委員会
最優秀作品賞
『せかいのおきく』阪本順治監督・スタッフキャスト⼀同
受賞理由
⽇本の⾵⼟が作り上げてきた⼈々の⽣活と、⽣きる⼒がこの物語に⼤きく横たわっている。
江⼾末期の⽇本、そして⽇本⼈のこころが、登場⼈物たちから滲む。
⽣命が、そして⼈の営みが、⼟に還りまた新たな命として芽⽣えていくことは、すべてのことの希望なのだと思わせる。
循環していくことの尊さが、市井の⼈々の暮らしを通して、とても⼤きな世界観で綴られてゆく事に感嘆する。
社会や環境がいかにあっても、⾃分を諦めないことの勇気が、未来と希望に繋がるのだとこの物語は教えてくれる。
誰かを愛し、守ることの美しさを肥溜めと共に描きこむ、その懐豊かな映画表現に脱帽であった。
高崎映画祭受賞歴
第4 回(1990)痛快優秀作品賞『どついたるねん』阪本順治監督・荒戸源次郎事務所
第15 回(2001)最優秀作品賞『顔』
第32 回(2018)最優秀作品賞『エルネスト』阪本順治監督・スタッフキャスト一同
最優秀監督賞
外⼭⽂治監督 『茶飲友達』
受賞理由
寂しさの始まりと、それが⼈の⼼の奥にヒタヒタと広がっていくことを、この物語は静かに、でも⾒逃してはならないと伝えてくる。
孤独に⽣きざるをえない⾼齢者たちの⼼の隙間を癒すのは、寂しさを抱えて集まる若者たちだ。
社会が⽣み出してしまった暗がりの中で、彼らの触れ合いは熱となって灯⽕にならんとする。
社会構造を鋭くつく洞察⼒で物語を組み⽴てながら、登場⼈物たちの⼼の動きにはそっと寄り添おうとするカメラと映像表現に胸を掴まれた。
最優秀監督賞
⾜⽴紳監督 『雑⿂どもよ、⼤志を抱け!』
受賞理由
かつて⼦どもだったすべての⼤⼈たちを、⼀瞬にして童⼼に返らせてしまう魔法がこの映画にはある。
<あの時代>のまばゆい光と爽やかな⾵が、7⼈の少年たちを包み込む。
少年たち⼀⼈⼀⼈のかけがえのない時間を丁寧に描き込むことに成功し、⼀瞬で過ぎ去ってしまう⻘春の輝きを、消えない光で包み込んだかのような鮮明で強度のある⻘春物語に仕⽴て上げた。
雑⿂と呼ばれる少年たちの抱く⼤志に、観客は皆惹き込まれてしまう。
彼らの内⾯と外⾒の成⻑までも浮かび上がらせてしまう演出⼿腕が⾒事だった。
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