希少な技術で地域の宝を守る
(2021年07月30日)
人形工房・株式会社アートこうげつ
雛人形や五月人形などの製作・販売を手掛ける人形工房・株式会社アートこうげつでは、お盆に向けての提灯づくり、祭りの山車人形の修繕・に忙しい。
「山の頂上に神様が降臨し地域の人々の生活を見守ってくれる。それをイメージしたのが山車です。それだけに、地域住民にとって誇りに思えるような、そして次世代に大切に受け継がれるような人形にしたいです」と代表の渡邊聖也さんは思いを込める。
桃太郎や神武天皇、菅原道真、武田信玄など、地域にゆかりのある歴史上の人物や神話に登場する神様、昔話のヒーローなど、邪気を払う存在として勇ましい姿が多い。
こうした山車にかかわる需要に応えられる事業所は全国的に希少で、県内では同社一社となっている。「人形の顔一つとっても、塗る・乾かすを4回も繰り返す手間のかかる仕事。後継者の減少で伝統の技術やノウハウが消滅の危機に瀕しています。その分当社への注文は、東日本を中心に増えていますが、応えられる数には限りがあります」と歯がゆい面もある。
渡邊さんを支えるのは4人のベテラン職人。同工房では9月いっぱい、こうした山車人形をはじめ山車や山車幕の製作・修繕に加え、提灯づくりと多忙を極める。
高崎商工会議所「商工たかさき」2021年7月号
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