話題呼ぶ映画「ストロボライト」

(2015年6月26日)

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シネマテークで6月27日(土)から

 今年の高崎映画祭のクロージング作品としてトリを飾った『ストロボライト』が27日からシネマテークたかさきで上映される。
 この映画は、閑静な住宅街で起こった猟奇殺人事件をめぐるサイコサスペンスで、大阪芸術大学出身の新鋭・片元亮監督のデビュー作だ。公開以来、自主制作映画と感じさせない完成度の高さとスケール感の大きさで多くのファンを集めてきた。この作品は兵庫県伊丹市で撮影が行われ、関西を皮切りに全国へと話題が広がった。作品に魅せられたリピーターが映画を追って、各地の上映館で何度も繰り返し観て回るなど、やみつきになる面白さを持っているという。
 これまで、高崎映画祭のクロージングは、その年度を代表する象徴する作品を上映したそうだが、今年は「新しい高崎映画祭の幕開けとして、これからの日本映画界を担う作品としてストロボライトを選んだ」というイチオシ作品。「映画のまち高崎」を自負する高崎の映画ファンにこそ、この「ストロボライト」は観てほしい作品。片元監督は「目の肥えた高崎のファンにきっと満足してもらえる」と話す。
 6月27日(土)、28(日)の16:35の回上映後、「ストロボライト」の片元亮監督、槇徹さん(出演兼宣伝プロデューサー)、坂城君さん(吉行実友役)の舞台あいさつが予定されている。

ストロボライト上映時間
6月27日(土)~7月3日(金) 16:35~18:43
7月4日(土)~7月10日(金) 20:00~22:00

料金
当日一般1700円、大学生以下1400円、高校生以下・シニア(60歳以上)1000円。

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―この「ストロボライト」を作られたきっかけは。
片元亮監督…自分たちで映画をつくりデビューしていこうと考えていました。大学を卒業し、中島貞夫監督に映画を学び、その後、サラリーマンの生活をしましたが、何か物足りず、どうしても映画が撮りたくなりました。10分間の短編映画を3日間でつくり、自主製作の映画祭に出品したらグランプリをいただいたのです。10分の短編だから、わがままを言わせてほしいと、こだわった作品でした。この受賞で「自分は映画を撮ってもいいんだ」と思い直すきっかけになりました。

―「ストロボライト」は、自主製作の枠を超えた映画と高い評価を受けました。
片元監督…自主製作ですが、劇場で上映できるエンターテインメントとしての高いクオリティをはじめから考えていました。自主製作の作品は、日常を切り取った作品が多いと感じていましたし、巨匠の撮った家族ドラマと私の自主製作の家族ドラマが並んでいたら、勝負は決まっている。エンターテインメントの要素として欠かせないサスペンスやラブストーリーを盛り込むと、フックになるだろうと考えました。「ストロボライト」は自主製作映画のクオリティを限界まで引き上げた作品ではないかと考えています。おそらく自主製作で「ストロボライト」は超えられないだろうと自信を深めています。

―作品づくりでの苦労は。
片元監督…この映画は一つひとつのシーンが、こだわりの積み重ねです。映画づくりは忍耐が必要な作業です。撮影の現場はかつてのフィルムからデジタルに移りました。私はフィルム映画の撮影を経験しています。フィルムは高価ですから、何度も何度も納得いくまでリハーサルをしてワンカットを大切に、丁寧に撮影します。デジタルは何度も回せるのですが、フィルム作品のように細かなところまで作りこみました。きっとスクリーンから伝わってくると思います。
 自主製作は予算が無いので、美術やメイクの費用を削ってしまうこともやむを得ないのですが、妥協せず、いろいろ工夫もしました。自主製作は心意気に乗ってくれた人が手弁当で集まっているので、自分たちの映画に対する思い、覚悟というものが一つの作品になるのだと思います。

―撮影では、伊丹市のみなさんの力が大きかったと聞いています。
片元監督…都会と田舎の風景が伊丹市にあり、とても惹かれました。伊丹市のあるイベントに参加した時に、「このまちで映画を撮りたい」と言ったら、話が盛り上がって「伊丹で遊ぶ、映画で遊ぶ」をキャッチコピーにストロボライトのサポーターズクラブを作ってくれました。ロケハンやエキストラでも大きな力をいただきましたし、映画でまちづくりという思いも強く伝わりました。街中にストロボライトのポスターが貼られ、映画づくりをみんなで遊ぼうという雰囲気でした。
 伊丹市で撮影していますが、この映画の舞台は「東京のとある街」です。伊丹市を前面に出すと、もう次の映画撮影は来ないかもしれない。それよりも、どのような設定の映画でも撮影できるまちであることを示せれば、私の他にも映画を撮影しよういう人が現れ、次につながると考えました。「ストロボライト」は新しいかたちのご当地映画だと思います。

―高崎の映画ファンにメッセージをお願いします。
 今までシネコンでしか映画を観たことがないお客様が、「ストロボライト」を観るために初めてミニシアターを訪れ、「こんな映画館があったんだ」と驚いていたという話を聞き、ミニシアターの新しい客層を開拓できたとうれしく感じています。
 高崎映画祭が開催される高崎で上映されることは大変うれしいです。映画に目の肥えた高崎の人にもきっと満足していただけると思います。この映画はリピーターがとても多く、5回位はふつう、何十回というお客様もいて、お客様同士がこの映画の感想を語り合い、交流も生まれています。この映画を追っかけて全国のミニシアターを巡っている人もいます。「ストロボライト」は、もう一度見たくなる映画です。
 「まず観ていただきたい」のひとことに尽きると思います。ぜひ、シネマテークに足を運んでください。私も舞台あいさつをさせていただく予定ですので、高崎の皆様とお会いできることをとても楽しみにしています。

(文責編集部:2015年6月16日取材)