ネットいじめ防止に実践プログラム/市教委
(2015年3月27日)
事例を示し対応をワークシートに
インターネットを通じて日記やメッセージを交換し、仲間同士のコミュニケーションを行ういわゆる「SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)」が原因となるトラブルやいじめを防止するため、高崎市教育委員会は児童・生徒の指導に役立つ、実践的な対応マニュアルを作成し、今月24日に市内、全ての小中学校などに配布した。
このマニュアルは、これまで高崎市が取り組んできた「いじめ防止プログラム」のSNS編。事例として、軽い気持ちで書き込んだ冗談が相手を怒らせ、友人に伝わって仲間はずれにされたケースや、友人と始めたオンラインゲームに熱中し睡眠不足になり、ゲームが原因でいじめに発展するケースなどが紹介され、こうしたトラブルを防止するための指導が、ワークシート形式でまとめられている。
今年1月に高崎市教育委員会が市内の中学生を対象に実施した調査で、家庭でインターネットを使う環境として、家族のパソコン51・8%、自分の携帯ゲーム機31・7%、自分の携帯音楽プレーヤー31・4%、家族のスマホ31・3%、自分のスマホ26・2%となっており、スマホに限らず、自分のゲーム機・携帯音楽プレーヤーでネット接続できる環境を多くの生徒が持っていることがわかった。多くの家庭で無線LAN装置が使われ、WIFI環境があるため、子どもが自室でネット接続していても親の目に届かない。
学年が上がると、自分のスマホを持つ生徒が増え、中学1年生で2割、3年生では3割となっている。市教委によれば、全国的には低いレベルという。
「家庭でインターネットを使わない」と答えた生徒は12%程度で、一日に1時間から2時間程度使っている生徒が約半数の46%、2時間以上使っている生徒が20%という結果になった。
部活を終えて帰宅し就寝までの時間を考えると、ネットに費やす2時間は、生徒の生活に大きな比重を占めることになる。
LINEなどSNSは生徒の約半数、メールは約7割が使っている。届いたメッセージにすぐに返信しないと仲間はずれになる脅迫観念から、目が離せず、家庭学習に集中できない生徒、インターネットに接続して仲間と遊ぶゲームでは、なかなかやめられない生徒もいる。 LINEをやっている生徒が全体の50%で、そのうち午後10時以降もLINEの返信を続けている生徒が25%いた。
睡眠不足になったり、成績が下がってしまった生徒が約3割、友人とのケンカや仲間はずれの原因となった生徒が約2割にのぼっていることが示された。
大人はインターネットを「見るもの、調べるもの」ととらえているが、子どもたちは「自らの発信、参加するもの」となっていることが、背景にあると市教委は見ており、インターネット利用のルールを子どもたちにしっかり理解させる必要性を市教委は強調している。
飯野教育長は「子どもたちがSNSによるトラブルに巻き込まれないよう全市をあげて取り組んでいきたい」とし、いじめ防止プログラムの実施に力を入れていく考えだ。