圧巻! 原 誠二氏の日本画8点
/高崎市庁舎21階アートワーク(~3月27日)

(2015年3月17日)

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約2×5メートルの巨大作品

 市庁舎21階アートワークスペースの壁面を、横181㎝、縦546㎝の巨大な日本画が覆う。『水景図―深遠』。水平線は白々と明け、氷山のような白い岩が漆黒の海に浮かびあがる。岸部で夜明けを待つボート、灯台、小さな黒い岩―。作者の空想の世界が見る者の想像力をもかきたてる。「この作品を見るのは私自身、実は初めてなんです」と作者の原誠二さん。ベニヤ板5枚程に相当するため、アトリエで3分割して描いたという。


水をモチーフに思い描いた空想の世界

 「日本画の岩絵の具という画材を初めて見てから、35年。その鮮やかで深い色合いに惹かれ様々な作品を手掛けてきたが、まだまだ未知のことが多く、今も試行錯誤の連続。従来の日本画が求める現実の自然を写し取ったものではなく、単純化して象徴的に捉え、記憶の中に沈んでいる彼岸のような世界観を描いていきたい」―そう話す原さん。
 今回の8点は、「水」を介して多様で捉えどころのないものを「かたち」にしている。「水景図」「瀑」シリーズは、どれも架空のものであり、写生もスケッチもない。様々な風景として現実の世界に存在し、液体、気体、固体と変化する水をモチーフに、「動と静」「昼と夜」「生と死」「明と暗」…など表出し、そこに精神性を宿したい―。

 作品に自由に想いを重ね、心の奥底にある忘れた記憶を見つける旅。原さんの作品には、そんな時空を超えた世界を感じる何かがあるようだ。

会期 ~3月27日(金)
会場 高崎市庁舎21階展望ロビー

■原 誠二〔画歴等〕
1959年 長野県生まれ
1983年 多摩美術大学絵画科日本画専攻卒業
1985年   同 大学大学院絵画研究科修了
1992年 セントラル美術館日本画大賞展佳作賞
2002年 群馬県展教育長賞
2004年 現代日本絵画展渡辺翁記念文化協会賞、群馬県展教育振興会賞
2007年 群馬県知事賞
2012年 群馬県展山崎種二記念特別賞 近代美術館奨励賞 
他多数受賞、個展21回、その他グループ展多数、群馬県展会員