上信電鉄「佐野のわたし駅」が開業

(2014年12月22日)

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地域要望で交通利便性を強化。10年ぶりダイヤ改正

 上信電鉄の南高崎、根小屋駅間の新駅「佐野のわたし駅」(上佐野町地内)が22日に開業した。
 この新駅は、地域要望を受けて高崎市が整備をしたもので、駅名称や駅デザインを子どもたちから募集し、市民に親しまれる駅づくりをめざした。新駅が設置された佐野地区では、住宅が増加しており、鉄道沿線でありながらこれまで駅がなかったことなどから、高崎市では公共交通による利便性の向上や地域活性化を目的に事業を進めた。
 新駅は、烏川のほとりで観音山丘陵が見渡せる場所で、近隣には謡曲「鉢の木」で知られる常世神社、定家神社がある。子どもたちからの公募で命名した駅名「佐野のわたし」は鎌倉街道や万葉集東歌に歌われた「佐野の舟橋」を偲ばせ、地域の歴史文化を象徴している。新幹線の車窓から駅が見えるので、ホームの待合場所屋根には、子どもたちによって駅名が描かれている。
 富岡製糸場の世界遺産登録で上信電鉄の乗降客も増えており、個性的な駅名と駅舎づくりが観光客の関心を引きそうだ。
 開業式典で富岡市長は「地域住民の提案と協力で開業できた。高崎の名物駅になると思う。地元に愛され、市民に大切にされる駅になってほしい」とあいさつした。上信電鉄の木内社長は「上信電鉄の21番目の駅が開業した。富岡製糸場の世界遺産登録で乗客が増えているが、沿線住民の方の利用が大切であると考えている。10年ぶりに大幅なダイヤ改正を行い運行も増発した。皆さまの利用が私たちを支える大きな力になる。地域の皆様にご恩返しをしていきたい」と感謝と喜びを語った。
 高崎商工会議所の原浩一郎会頭は、万葉集東歌「上毛野佐野の舟橋取り離し親は放(さ)くれど我(わ)は離(さか)るがへ」を紹介し、「上新電鉄沿線は富岡製糸場や上野三碑があり歴史遺産の宝庫」と地域活性化に期待を寄せた。
 上信電鉄は式典に合わせて、デキ2両を連結した特別列車を運行し、開業を盛り上げた。