上野三碑を世界記憶遺産に
(2014年11月4日)
官民で協力し協議会発足
高崎市に所在する山上碑(681年)、多胡碑(711年)、金井沢碑(726年)の上野三碑をユネスコの世界記憶遺産に登録しようと県民と行政が協力して取り組む「上野三碑世界記憶遺産登録推進協議会」がスタートし、1日に高崎市内で設立記念総会が行われた。関係者ら約300人が参加し、関心の高さをうかがわせた。
ユネスコの世界記憶遺産は、世界的に重要と認められる直筆の文書などを対象にしたもので、ベートーベンの「交響曲第9番」の楽譜やアンネの日記などが登録されている。
日本国内では、平成23年に「山本作兵衛による筑豊炭田の記録画」が登録されて注目を集め、現在「慶長遣欧使節関係資料」、「御堂関白記」の計3点が登録されている。
今回、設立された協議会は福田康夫・元首相を名誉会長に、大澤知事と、富岡市長が顧問となり、昨年発足した上野三碑顕彰会・会長で、元・高崎経済大学教授の横島庄治さんが会長をつとめる。副会長に吉川浩民副知事、高崎市の飯野眞幸教育長、原浩一郎高崎商工会議所会頭。
設立総会の後に行われて講演、シンポジウムでは、高橋伸二さん(富岡製糸場を愛する会)、熊倉浩靖さん(県立女子大教授)、前澤和之さん(館林市史編さんセンター専門指導員)、飯野教育長、群馬県出身で元TBSアナウンサーの見城美枝子さん(青森大学教授)が登録をめざした取り組みついて話し合われた。
高橋さんは富岡製糸場が世界遺産に登録されるまでの地道な市民活動について話し、「価値を伝えることが最も大切」と訴えた。熊倉さんは、三碑が古代だけではなく近代においても日本と中国、韓国の交流につながっていること、万葉集や源氏物語の原本が失われている例から直筆として残っている三碑は登録にふさわしいことを説明した。飯野教育長は、三碑の史跡整備や資料館の充実、「多胡郡が」の発見につながる調査について取り組んでいきたい考えを示した。見城さんは、古碑というと奈良県のイメージがあること、県外では「上野」を「こうづけ」と読んでもらえないことなどをふまえ、ぐんまちゃんと組み合わせるなど上野三碑を親しみやすくPRする必要があると提案した。
横島会長は「県民の財産として世界に情報発信したい。楽な道のりではないが登録実現に向けて取り組んでいきたい」と話した。
群馬県では、平成28年度内に申請を行い、29年度の登録をめざしていく。