大雪被害を検証し緊急改善措置

(2014年8月20日)

民間との協力が不可欠。災害時の協定

 高崎市は、今年2月の記録的な大雪による被害や市の対応を検証し、除雪に対する計画や情報収集に対する体制が不十分であったなど、課題と改善の方針をまとめた。
 積雪73センチを記録した大雪により、停電や、交通のマヒ、家屋や農業施設の損壊被害など、市民生活に大きな被害が及んだ。高崎市では、職員による雪かき支援や復旧支援金制度などを創設するなど、市民への支援に取り組む一方、これまで大雪に対する計画が無かったことで、全職員で災害に対応する意識が不足していた、除雪作業が円滑に行えなかったなどの検証結果が浮かび上がったという。
 高崎市では、この検証結果を踏まえ、「当面緊急に取るべき改善措置」として、職員体制、除雪体制、情報収集、情報発信、避難・帰宅困難者の受け入れなどについて、約30項目の課題と改善方針をまとめた。
 除雪作業では、地域の協力が大きな力となったが、人力だけでは限界があり、高崎市では、今後、生活道路の除雪も支援を向けていきたいと考えている。除雪に必要な体制づくりを市内の建設業者などと共同して取り組むことにし、20日に協定を結ぶ。2月の大雪は深夜から早朝にかけての降雪量が多く、市では、朝まで待ってしまったことも反省点とし、除雪作業を開始する判断も協議したいと考えている。
 情報収集についても「受け身であった」とし、鉄道などの公共交通機関や病院、高齢者施設、障害者施設との連絡を強化していく方針。また被害を受けた現場の状況を確実に確認するため、現場の映像をリアルタイムに伝送するシステムとして「歩く防災カメラ」を導入する。

【被害状況】
1)負傷者 重症2人、軽傷21人。倒壊した家屋の下敷きによる負傷、屋根の雪下ろし、除雪作業中の負傷。
2)停電 最大約9万軒(15日午前2時)
3)帰宅困難者・移動困難者 高崎市役所=16日120人。17日49人。18日8人。八幡小=3人。豊岡小=利用者なし。国道18号渋滞による移動困難者含む。
4)住宅等被害 下里見地内=住宅倒壊1棟。三ツ子沢町地内=住宅倒壊1棟。一般住宅駐車場屋根等被害多数。
5)その他 中央銀座アーケード屋根一部崩落。箕郷管内雪崩による車両孤立のため救出活動で自衛隊派遣要請。はんな・さわらび療育園へのアクセス道路埋没及び停電。国立のぞみの園入園者への食糧配送経路確保のため自衛隊派遣要請。箕郷地域唐松浄水場の取水不良、滅菌機動作不良。金井淵市営住宅200世帯の配水設備故障(ペットボトル1・5l、256本を配布)。国道18号大渋滞による長時間待機者が多数発生。避難所案内、食糧、水を配布。

【交通機関の状況】
鉄道=14日から遅れと一部運休。15日から17日は終日運休や運転見合わせ。18日から平常運行に向かう。
ぐるりん=15日、16日は全線運休。17日以降は一部路線で運休、ルート短縮、道路状況で順次通常運行。

【組織体制】
災害警戒本部=15日午前10時設置。災害対応職員=16日、17日で延べ約280人。庁舎支所周辺除雪作業員=275人。国道18号渋滞による避難所開設、案内職員40人など。市街地歩道等除雪作業職員300人。

【その他】
高崎市立幼稚園、小学校、中学校、養護学校が17日と18日、高崎経済大学附属高校が17日に休校。17日、18日は市内全域でごみの収集中止。災害応援協定締結企業に対し15日にスコップ300本を依頼し16日に納品。

【大雪に対する支援】
大雪被害住宅復旧支援金。大雪被害事業用施設復旧支援金。大雪で倒壊・破損したガレキの無料回収。被災農家支援金。農業用施設のガレキ類無料回収。被災農業者向け経営体育成支援事業補助金。
雪かき支援隊=290件、派遣職員延べ1160人。中心市街地などの除雪=延べ2200人。農業施設片づけ支援隊=103件、620人。高崎社会福祉協議会の雪害ボランティア=149人・9団体、活動件数137件。