石碑之路散歩風景22

吉永哲郎

前回に続いて根小屋城址への山道にある石碑を見る2回目で、高崎ゆかりの村上鬼城の句碑です。

ゆさゆさと大枝ゆるゝ桜かな

 市内に鬼城の句碑は多くあります。山中にあるのはめずらしい。碑の近くに桜の大木はありませんが、この山道を登りつめた根小屋城址の平坦部には、沢山の桜があります。山頂から東に広がる関東平野の眺めはすばらしく、花の季節になりますと一段と風情が増します。あまり知られていない桜なので人影は少なく、桜の花をこころゆくまで愛でることができます。

「飲めや歌えや」の桜見物は街中で、静かに花と向き合い、花の咲くことを祝いたいと思います。そこで風流人だったら「今日の一句をどうぞ」となりましょう。こうした句仲間とここで野外句会を開いてもいいのではないかと、思いました。あるいは鬼城の句集を携え、桜の句を口にしながら読むのも、風流人だったら心がけるのだと感じます。

高崎は鬼城の街・俳句の街。多くの風流人が住まいする街。だとすれば、なおのこと鬼城にならって、花の季節はまず一句でご挨拶を。それが高崎風流人。と近世の町方文書に書かれています。

俳句は世界中にひろがった短詩形定型詩。日本人は日常的に、その時の感情を表現する方法として知る定型詩。その上、日本人は5音と7音の75調を好みます。それならば、高崎人の御挨拶は、まずは挨拶句から。

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