石碑之路散歩風景13

吉永哲郎

 前回の碑から根小屋城址への小路を折れず、金井沢碑への路を直進しますと、縦長の小坂奇岩書を刻した高さ183cm、横122cmの東歌の碑があります。
 「伊香保嶺にかみな鳴りそね吾が上には故はなけれど児らによりてぞ」で、歌意は「伊香保嶺の雷よ、そんなに鳴らないでおくれ。私には何の事もないが、怖がる愛しい人のために、お願い!」ととれます。


 この東歌には、単に恋人が怖がるからという意味だけでなく、雷を恐れた万葉人の雷除けの信仰がうかがわれます。雷を「カミナリサマ」、雷雨を「オカンダチ(タツは天から降るクダルの意味)」などと口にする人が今もいます。雷神が地上に降臨する意で、古い民俗儀礼を伝えるところでは、落雷した田に青竹を立てシメを張り、神祀りします。
 また「イナヅマ・イナビカリ」の語とともに稲作儀礼と深く関係をもっていることもうかがえます。


明治11年の「神社明細帳」によれば、県下には354社の雷電神社があり、稲光と地を震わし、轟く雷鳴に人々は恐れ、祈るばかりであったと思われます。
 雷除けの神として、大雷大神(おおいかずちのおおかみ)、火雷大神(ほのいかずちおおかみ)を祀ります。近くの氏神様かもしれません。馬の沓とか蹄鉄が奉納されているかどうか、お調べください。あれば雷電神社ゆかりの社(やしろ)です。初詣にいかがですか。

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