万葉花木散歩

4・マロニエ

吉永哲郎

若葉の季節になると、木々の若葉の合いに濃淡があって、春のもみじの風景を楽しむことができます。若葉のみずみずしい色に青春の息吹を感じ、 こころかろく活動的になります。街路樹が春の到来を告げる通りは、ご存知パリ、シャンジェリゼ通りのマロニエの並木道。国内では盛岡市の官庁街の並木通りは知られています。都内でも佃島には紅色の花をつけるマロニエがありますが、高崎にもマロニエの大木があります。市庁舎前のトイレを覆っている大木に「マロニエ」(和名西洋トチノキ) ) と掛名を記した札があります。5月から6月にかけてローソク状の円錐形の白い花が咲きます。
さて、このマロニエ(トチノキ)に関して、万葉集をはじめ日本の古典にはでてきません。日本古来にはなかった木ではないので、何故文学作品に現れなかったのか、わかっていません。
芭蕉が詠んだ 「木曽の橡 (トチ)浮世の人の土産かな」(この句碑は木曽路の鳥居峠にあります。)がトチノキを扱った古い文学作品です。この句は芭
蕉の弟子彦根藩の森川許六の旅立ちのはなむけの句ですが、許六は芭蕉より2年先に北信濃から木曽路を歩き「橡 の木」の多いことを記しています。初夏の木曽路を通りますと、大きな葉先から円錐形の白い花を見かけます。
今回は万葉にはないマロニエを記しましたが、城址付近散歩すると、見上 げる大木が多くあり、なかでも葉の大きい朴の木、桐、柏など探しながら歩く散歩は楽しいと思います。

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