高崎新風土記「私の心の風景」
橋の風景から⑲ ―城南大橋―
吉永哲郎
平成元年12月、4車線で開通した城南大橋は、全長617メートルの市内最長の橋で、また国道17号線・上信電鉄をまたぎ、一部3階建ての立体交差の構造をもつめずらしい橋です。高崎駅東口と上信越自動車道吉井町方面を繋ぐ重要な道筋の意味を、あらためて感じます。
私はこの橋を「青春大橋」と勝手につけています。そのわけは、長い橋ですのでアップ・ダウンが厳しく、特に橋の両側の歩道を自転車で通学する高校生の姿に、「ああ青春真っただ中だ」と感じさせられます。こうして高校3年間渡れば、尊い老いての筋肉貯金をしたことになりましょう。身体的理由は別として、自家用車での送り迎えの3年間通学より、教室での精神世界の貯金と同様に、むしろ人生にとって大切な、肉体の基本的な貯金をしたことになると、私は思います。厳冬の風ふきすさぶ橋上をサドルから腰をあげ懸命に風に挑む姿、「これぞ青春の姿」です。
春四月、のどかな日。橋上から眺める榛名の連山、残雪のまだら模様をした浅間山、鳥川沿いの枯草色から緑色に移りゆく風景、天高くひばりのさえずる声、こうして列挙してゆけば、限りなく日本の故郷の春の風景が、すべて眼前に広がっています。
長い橋ですので、ゆっくりと歩きながら、春の烏川風景を満喫したいものです。時に青春時代の自分と歩きながら、青春をとりもどしてみるのも…。
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