“いごっそう”の精神で高所作業車に専門特化しオンリーワン企業へ

(2016年06月30日)

株式会社ワイケー

●他社がやらないことをやる
 高所作業車の設計・製造・販売、そして全国の指定サービス工場をネットし万全のアフターサービス体制を敷く。
 「主に高速道路や料金所、トンネルなどの定期点検やインフラ整備と、ビルや大型施設等の建築現場で、当社の高所作業車は広く活用されています」と話す社長の川村裕助さん。高知県出身で、反骨精神と大胆さをもつ快男児ぶりは、まさに土佐弁で言うところの“いごっそう”(頑固で気骨ある男性)。「他社がやらないものをやる」と、専門特化した高所作業車にこだわり、独自路線を切り拓いてきた。
 インフラへの安心安全意識の高まりや、オリンピックを契機とした建設業界の活況などを追風に、平成22年2月に設立以来、同社は右肩上がりに実績を拡大。生産性向上が目下の課題で、そこをクリアすれば、さらなる飛躍が見込めそうだ。
 
●高所作業車の作業性・効率性をアップ
 同社の高所作業車には、大きく分けてトラックタイプと小型自走式タイプがある。トラックタイプは、独自の営業展開でユーザーへの直販を含めてレンタル会社へも幅広く販売し、小型自走式タイプは、大手メーカーのOEM製品として供給している。
 これらの高所作業車にはこだわりが随所に施され、作業性・効率性・安全性に優れた機能が搭載されている。
 例えば、高所作業車に「ジャッキ兼用の移動用タイヤ」と、作業床に「車両移動と高所作業の操作装置」を装備したことで、これまで作業の一工程が終わるたびに行っていたジャッキの“格納と設置”の工程を無くし、作業者が作業の進行のタイミングで作業床にいながら車両を前後・左右折に移動操作できるようにした。
 また、「荷台昇降車タワーステージ」は、最大積載1,200㎏の荷台として使えるデッキを採用。貨物登録をすることで、デッキに積載をしたまま公道走行を可能にし、「運搬」「高所」「連続作業」の3つの要素を一台でできるようにした。トンネル内の連続した作業で特に本領を発揮する。
 他に、伸縮軸の根元に回転用油圧モーターを搭載してデッキが左右180度旋回する「小型自走式」は、車体の前に障害物がある場所でも障害物を越えて作業ができるなど作業領域を広げた。
 こうした高所作業車の操作は、走行や操舵がジョイスティックレバーで簡単にでき、作業者にやさしい設計となっている。
 
●組立工場に蓄積される技術力と誇り
 確かな品質と安定供給を果たす部品サプライヤーとの共生は、高所作業車の一貫生産を行う同社にとって、大切な生命線となる。供給された部品を自社工場で油圧や電気など部位ごとに組立て、徐々に大きなユニットに仕上げていく。トラックタイプは自動車メーカーから取り寄せたベース車両にシャーシー加工を施した後、組立てられたユニットを架装していく。完成品は工場内の性能検査を経て出荷となる。
 工場のスタッフは、一工程の全ての作業を一人で受持ち、ローテーションで全ての現場を経験するので、電気・機械・油圧・制御・トラック架装など様々な技術分野への理解を深めることができる。それが自社ブランドへの誇りを育み、クオリティにつながっている。
 
●NETIS登録で自社製品の普及に期待
 平成26年にワイケーブランド製品である「スカイムーバーYX60M型移動式高所作業車」が、国土交通省のNETIS(新技術情報提供システム)登録を果たした。これは、新技術の積極的な活用を通じて、公共工事等の品質の確保や良質な社会資本の整備に寄与することを目的にしている。施工者が登録された新技術を実際に工事等で活用した場合は、総合評価落札方式や工事成績評定での加点対象になり、工事などの受注に優位に働く。これにより、同社の技術や製品の普及拡大に期待がかかる。
 
●小回りの利く製品で引っ張りだこ
 道路維持管理業界への参入のきっかけは、2010年に開通した大橋ジャンクションの建設現場。4層のループを重ねたようなコンパクトな構造で、首都高速道路の中でも急勾配と急カーブが連続するかつてない現場で、小回りの利くワイケーブランドが輝きを放った。
 現在、全国にある2m以上の橋約70万橋とトンネル約1万本が、国土交通省が定める5年に1回の「道路トンネル定期点検」(平成26年3月末公示)の対象になっており、それを推進するのに引っ張りだこなのが同社の高所作業車である。
 また、今年11月にオープンする東京都中央卸売市場の建築現場では、同社の“小型自走式”高所作業車も現場に大量に導入され、工期の短縮に寄与した。人気の秘密は、現場の作業者の声を吸い上げて反映させた使い勝手の良さにある。
 「汎用性の高い製品開発のほうが大きな利益をのぞめますが、かゆいところに手の届く小回りの利くユニークなオンリーワン製品づくりが、弊社のような小さな企業の生きる道」と、ニーズにきめ細やかに対応するという開発コンセプトに誇りを持っている。(H)

 

川村 裕助さん

最大安定傾斜角度測定装置
スカイムーバーYX60M型移動式高所作業車

代表取締役 川村裕助
高崎市倉賀野町3409-5
TEL:027-386-3337

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