快適緑化を創造する造園業のエキスパート

(2023年10月5日)

株式会社高崎松風園

 

庭づくりのパートナーとして長く寄り添うための店舗づくり

「群馬の森」北入口近くの井野川のほとりに、ブランコが吊り下げられた大きなクスノキが目を引く一角がある。ここが、造園を専門とする株式会社高崎松風園だ。緑と建物が調和したエリアは、芝生の広場、樹木や草花、ガーデニング雑貨、プロ向けの工具等を販売するプロショップ。そして、庭づくりや外構工事、メンテナンス等の相談に応じる相談室や、コーヒースタンドがある。新しいスタイルの「ガーデン複合ショップ」となっている。月に一度、中庭を開放して、アクセサリーや陶芸品などのクラフトや飲食店等が出店するマルシェが開催され、緑の中でゆっくり寛げる空間となっている。

 

代表取締役の山口俊輔社長は、「造園業はカーディーラーに似ています。庭の仕様や機能を新たに設計・デザイン・施工したら終わりではなく、定期的なメンテナンスが必要になります。ですから、このエリアはどなたでも気軽に訪れて親しみを感じていただけることを狙いとしています。樹木や草花、ガーデニングの道具、庭を彩る雑貨などを吟味したり、緑に触れてリラックスした時間を過ごしたり、興味があればスタッフに気軽に相談できる環境を整えています。お客様のお庭づくりのパートナーとして長く寄り添うことができれば嬉しいです」と話す。

 

“お庭時間”を楽しむ“こと”の重視を提案

同社の創業は昭和43年。当時は山口社長の祖父が仕入れた植木を軽トラックに乗せて民家に販売していた。その後、4男・5男の息子さんが跡を継ぎ、植栽などから始め造園業へと発展させた。日払いで働く植木職人が当たり前だった時代、彼らの収入を安定させたいと正社員化するとともに、経営の安定化を図ろうと、昭和58年に売店部門を設立、植木や鉢植えなどを店舗で販売するようになった。当時は自分で庭を造るのが当たり前で、軽トラックで来店するお客も多かったという。

 

平成に入りバブル経済が崩壊すると、イングリッシュガーデンブームが到来した。ホームセンター等でも園芸用の花やプランター、レンガなどを供給するようになり、競争が激化した。「ガーデニングは不況に強いと言われ、ブームは20年ほど前のことです。現在は、コロナ禍でおうち時間を充実させたいという人たちが、身近な自然である庭への興味を膨らませ、キャンプをしたり、家庭菜園や園芸を楽しんだり、気分を変えて飲食したりするスペースとして、アウトドアリビングなどの需要も高まっています」。

 

住宅設備や家電の進化で、快適な住環境が確保されている今、外気に触れながら“もの”より“こと”の幸せを感じる機会を提案するのが、造園業者の矜持と山口社長は考えている。

「“家”と“庭”を合わせて家庭。庭は隣家との“際”であり、緑や花を上手に配置して庭で過ごす時間が増えれば、ご近所とのコミュニケーションも拡がります。登校する子どもたちに、よその家の庭から“気を付けて行ってらっしゃい”と声がかかれば、どれほどの安心感や地域への愛着が生まれることでしょう」と自身の体験も交える。

 

多彩なサービス提供は多能工の育成が鍵

同社は外構工事から植栽工事まで、デザイン・設計から施工、メンテナンスまで一貫して手掛ける造園専門会社として、地域に密着した事業を展開してきた。施工実績は一般住宅の庭園工事が6割、法人が3割、公共緑地の年間メンテナンスが1割を占めている。

1級造園技能士、1級園芸装飾士、1級エクステリアプランナーなど、各チームに有資格者を配置しており、県内随一の技術力とデザイン力を持つ技術集団としての自負がある。

「営業エリアを片道30分圏内に絞っているため、提供するサービスのバリエーションを増やすことで業績アップを図っています」と話す山口社長。

既設のコンクリート面にスプレーで模様やカラーを付けて仕上げる「マットスプレー」やコンクリートにハンコを押すように自然石や木目の模様を付ける「スタンプコンクリート」などの景観舗装サービス。タイルやブロック塀などの汚れを除去する「ガーデンクリーニング」等もメニューに加えている。

こうした多彩なサービスメニューを提供するためには、一人の職人が複数の技能や知識を身に着け“多能工”として機能する必要がある。そのため、山口社長は自らテキストを作成し、それを基に毎朝30分のロールプレイングやミニ講座の受講等、人材の育成に余念がない。

 

また、IoT技術を搭載した果樹園や太陽光パネルの下草刈りに有効な「ロボット草刈機」や、炎天下の芝生刈を任せて安心な「ロボット芝刈機」等の販売にも積極的に取り組んでいる。

その他にも、スマホで簡単にできる「お庭の簡単オンライン見積り」サービスを実施し、若い世代や今まで業者に依頼経験のない新規顧客の開拓に努めている。

同社は、造園業のプロ集団として、半世紀にわたり培ってきた技術やノウハウを基に、柔軟な発想でIoT技術の導入や新しい取り組みにも果敢に挑戦し、地域の緑地環境の整備を担うリーダーとしての存在感を放っている。

 

株式会社高崎松風園

〜会社概要〜

代表取締役  山口  俊輔さん

高崎市八幡原町508-1

TEL:027-347-2818

高崎商工会議所「商工たかさき」2021年10月号

 

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