新たな農業ビジネスに挑戦

(2021年11月29日)

 

 

 

高糖度プチトマト『SWEET10』を看板商品に、米や野菜を生産・販売する株式会社三光ファーム。幹線道路が通る郊外にトマトハウス3棟、直売所、トマト選果場、農産物加工場を設備する。

 

廣瀬光昭社長は、24年にわたり不動産業の中でも土地仕入れを生業としてきた。農業を営む地主さんに接する機会が多く、高齢化や後継者不足により増加する「耕作放棄農地」の問題を解決したいと切実に思うようになった。そして、平成28年、土地の有効活用を図る新たな農業ビジネスを開始した。

 

創業当初は失敗続きで「農業の素人にとって、異業種からの農業への参入は決して平坦な道のりではありませんでした」と振り返る。

 

同社の栽培スタイルを決定づけたのは『アイメック農法』との出会いだった。医療用のアイメックフィルムを農業に転用し、高品質・高収量・高採算性の農業生産を可能にする画期的な栽培法だ。水と養分だけを通すナノサイズの穴が無数に開いたハイドロゲルの薄いフィルムの上でトマトを栽培する。徹底した水分・養分量管理で必要最小限の養液を与えることで、リコピンやアミノ酸、ギャバなどの栄養価が高いトマトを収穫できる。通常のトマトの糖度が4~6度のところ「SWEET10」は10~11・9度と柑橘類並みの糖度となり、濃厚で上品な甘みが印象的な逸品だ。

 

そのうえ、特殊なフィルムはバクテリアやウィルスをブロックするので、農薬の使用も最小限に抑えられるなど、環境にやさしく持続可能な農業を実現する。

そしてもう一つ、同社の農産物の特徴は高い抗酸化力にある。抗酸化とは、細胞の老化や病気の原因となる活性酸素の発生を抑えたり無毒化したりする働きのこと。抗酸化力の高い食物の摂取により、体内の抗酸化物質の生成が促される。

 

同社では、酵素を使った『マクロビオティック栽培』を導入し、農産物の抗酸化特性を高めている。順天堂大学大学院の研究室と共同で研究・生産を行い、近隣農家への普及活動も展開している。そして、契約農家で獲れた農作物も一緒に市場に供給する。

 

「新しい農業といっても、生育状況を見ながら毎日の手入れは欠かせません。また、農業を始めたことで、“人によかれ”という利他の心で行動するようになり、人が集まり協力してもらえることが増えました」と相好を崩す廣瀬社長。不動産業との兼業は多忙だが心には充足感がある。

 

正月に稲刈り!

同社では生育期間の長い稲の品種を低温で発芽させ、根の張りを強くする酵素を投与するなど栽培方法を工夫し、なんと真冬に米の収穫を成功させた。これは収穫作業が一時期に集中することへの解決策であり、SDGs(持続可能な開発目標)の取組みの一環でもある。「開運米」と命名し販売した。

 

株式会社三光ファーム

代表取締役社長 廣瀬  光昭さん

住所:高崎市大沢町217-1

TEL:027-388-1635

高崎商工会議所「商工たかさき」9月号

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