糸庄9代目は女性社長

(2021年09月29日)

株式会社糸庄

 

 

建設資材の卸商社である株式会社糸庄は、明治元年に4代目が創業し150余年の歴史を誇る。

「江戸時代は高崎城お抱えのとび職の親方でしたが、廃藩置県を機に商売替えをしたようです」と話す松本修平会長は8代目。今では関東一円を営業エリアに、公共施設やインフラ整備にかかわる工事を大手ゼネコン等から受注。生コンの供給をはじめ、ガラス・軽量気泡コンクリート(ALC)・押出成型セメント板(ECP)の取付けや、耐火被覆、発泡ウレタン吹付工事等の実績で信頼を獲得している。 研究心をもって変化に柔軟に対応する姿勢が成長の原動力といえる。

 

昨年6月には9代目を継承する女性社長が誕生。建築業界ではまだまだ珍しいが、「私自身は全く気になりません」と久美子社長は自然体だ。大学では美術史を学び、美術品の保存修復を学ぶためイタリアに留学。手先の器用さもあって時間を忘れるほど没頭したが、生涯の職業とするには難しく、帰国後は美術品のオークションなどの仕事に携わった。5年前に高崎に戻り、後継者になる決意を固めた。

 

そんな久美子社長について、「何でも自分で決めて行動するので、たとえ親でも何かを押し付けたり束縛したりすることはなかったね」と修平会長は表情を緩める。

 

久美子社長が入社間もなく行ったのは、30人ほどの従業員との個別面談。「やってみると一人ひとりとの距離がぐっと縮みました。仕事に前向きに取組む姿勢が見られ有難く思いました」と胸をなでおろす。会長の指導かと思いきや「高崎卸商社街の若手経営者の会でアドバイスをもらいました。頼もしい兄貴分たちがいて、相談に乗ってもらったり愚痴を聞いてもらったりしています」と嬉しそうだ。修平会長も「全国を視察しましたが、切磋琢磨し合い助け合う団結力もあって、高崎卸商社街は日本一です」と相槌を打つ。

 

後継者にバトンを渡し、少し肩の荷を下ろした様子の修平会長は、「経営は経験則。失敗も含め経験から学ぶことが多い」と、久美子社長の舵取りを温かく見守る。そしてプライベートでは、地球半周分は走ったという自転車を封印し、娘の叱咤激励のもと、週イチのジム通いをノルマに体力維持を図っている。

学生時代ヤクルトスワローズの大ファンだったという久美子社長。球場でお菓子販売のアルバイトをしていたという。群馬ダイヤモンドペガサスの始球式では自慢の肩(?)を披露。また、群馬県立近代美術館友の会の理事を務めるなど、“好き”が活動の幅を広げている。

 

 

 

厚い木板に彫った文字に金を埋め込んだ「金看板」。もちろん年代物。

 

株式会社糸庄

 

代表取締役会長 松本 修平さん

代表取締役社長 久美子さん

所在地:高崎市問屋町3-10-2

TEL:027-364-3111

 

高崎商工会議所「商工たかさき」2021年5月号

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