走れば走るほど伸びる幸福指数
(2021年04月27日)
田村屋 遠藤真美さん
「忘れ物を会社に届けてほしいと妻に電話をすると、10㎞超もの道のりを “走って持っていく”と簡単に言います。“そこはクルマでしょ”と制することが珍しくありません」と笑う株式会社田村屋の遠藤直行社長。
もはや走ることが生活の一部になっている妻、真美さんとの感覚のずれが夫婦漫才のように日常に繰り広げられている。
遠藤真美さんは小・中・高と長距離走に親しみ、第1回前橋渋川シティマラソンや第1回ハルナ湖マラソンなど、8年ほど前からフルマラソンに挑戦。4時間以内で走りきる“サブフォー”を目標にして達成してきた。
「年齢問わず練習をすればするほど速く走れるようになるところがマラソンの魅力。50代、60代の女性たちがさっそうと駆け抜けていく姿が素敵です」と話す。
真美さんのマラソン好きは父親ゆずり。佐渡国際トライアスロン大会での226㎞アイアンマン(鉄人)レースをはじめ多くのトライアスロンやマラソン大会に出場してきた父が、かつて都内で大学生活を送っていた真美さんの住まいに、玉村町から走って行ったというエピソードには驚かされる。
真美さんの長男が20歳を迎えた2019年に、3世代で『ぐんまマラソン』に出場する予定だったが、鉄人の怪我によって母子での出場になり「学生生活のことなど、走りながら息子とゆっくり話すことができて嬉しかった」と、真美さんは息子を気遣う走りでレースを楽しんだ。
42.195㎞を走るフルマラソンも相当すごいが、真美さんの手元にはウルトラマラソン(100㎞)の完走証明書がある。2019年3月に出場した『南房総みちくさウルトラマラソン』で12時間4分30秒のタイムで走り切った。女子3位、年代別1位、総合42位の成績。
事前の練習では、自宅から富岡製糸場までの往復(43㎞)や、イオンモールを経由して吉岡町までの往復(15㎞)など、1カ月間に計200㎞を走ったという。「周りの風景を楽しみながら走ると飽きません」と屈託ない。
コロナ禍で大会中止が続く中、真美さんはアプリを使ったオンラインレースに参加することもあり「自分の都合で走りながら、走行距離とタイムから順位が出るのでモチベーションが上がります」と話す。一方、妻に付き添い各地のご当地グルメを堪能してきた直行社長は「自転車を買って伴走する機会が増えました」と嬉しそうだ。
真美さんの走行距離が伸びるほど、夫婦の絆マイルが貯まっていく。
田村屋では、継続的に障害者雇用を行ってきた。昨年、新たに農業法人を立ち上げ雇用の場を拡大していく予定だ。真美さんは「ジョブコーチ」の資格を取得し、ハンディキャップのある人たちが職場に溶け込めるよう支援する中心的な役割を担っていく。
株式会社田村屋
住所:高崎市八幡原町442
TEL:027-346-4555
高崎商工会議所「商工たかさき」2021年3月号