コロナ禍で消毒液の注文が拡大

(2020年12月30日)

株式会社ミツワ化学

 

リーマンショックで誕生した自社商品にコロナ禍で注文殺到

除菌・消臭効果のある次亜塩素酸水

新型コロナウイルス感染拡大によるアルコール消毒液の不足で、経済産業省が「次亜塩素酸水」に着目。その有効性評価を独立行政法人製品評価技術基盤機構(NITE)に要請したところ、新型コロナウイルスに対する消毒物資としての有効性が認められ、コロナ対策用として爆発的に消費量が拡大した。

 

平成21年(2009)年4月より次亜塩素酸水を噴きつけて除菌・消臭ができる『CIAQ ·1』(シアック・ワン)の製造・販売を行ってきた株式会社ミツワ化学でも、商品の引き合いが殺到し、製造や出荷が大忙しの状態が続いてきた。代表取締役の須永正儀社長は「ここにきてやっと一息つけました」とかつてない需要拡大に少々お疲れの様子だ。

 

 

自社ブランド商品が新型コロナ禍で引っ張りだこ

「次亜塩素酸水」は、塩化ナトリウム水溶液や希塩酸、塩酸と塩化ナトリウムの混合液などを電気分解して作られる、除菌・消臭に効果のある水溶液。有効成分が有機物に反応すると除菌作用が起こり、分解して水になる性質がある。

 

同社が製造・販売する『CIAQ ·1』シリーズは、2〜6%の塩酸を電気分解して得られる微酸性次亜塩素酸水で、出荷時保証で有効塩素濃度が10〜40㎎/㎏(ppm)。様々なウイルスや微生物に対して強力な除菌効果を発揮しながら、目や皮膚への刺激性試験もクリアし、飲料水としての基準も満たしている。携帯できるサイズや片手で手軽に使えるスプレータイプ、シャワーポンプ式や専用の超音波霧化器を使用するタイプがある。

 

医療介護施設、学校・保育園の除菌消臭などの衛生管理、ホテル・レストランの調理器具や生野菜、果物などの食材の除菌・洗浄、家庭でのペットや生ゴミ等の消臭対策にと用途は幅広い。

 

 

化学工業薬品の卸売りと小分け作業

同社は昭和60年(1985)3月に創業した。それまでメッキ工場の設備設計据付、薬品の販売をしていた須永勝現会長が、メッキ工場の海外移転等が進む中、化学薬品の小分け製造業への転業を図った。

 

現在、取扱品目は①無機薬品(苛性ソーダ、硫酸、塩酸、塩化カルシウム等)、②水処理薬品(次亜塩素酸ソーダ、ポリ塩化アルミニウム、塩化第二鉄、消泡剤等)、③分析用試薬、④メッキ薬品など大きく4種に分かれている。

 

メーカーからタンクで仕入れた化学薬品などを、必要な濃度に調整し容器に小分けして供給している。納入先には、工場の生産現場や浄水施設、学校のプール、除菌・消臭を頻繁に行う医療介護施設等がある。

 

ピンチのときこそ新しい事業の芽(シーズ)を育てる

同社が自社ブランド商品『CIAQ ·1』(シアック・ワン)を製造・販売するようになったのは、世界的な大不況となったリーマンショックの最中だった。「顧客先の工場の操業休止や縮小が相次ぎ、当社も薬品の供給が激減しました。そんなとき、地元の金融機関から企業支援の一環として融資の話があり、新規事業を立ち上げることにしました」と話す須永社長。 “薬品の小分け製造”という持ち味を生かし、初めて一般消費者向けに、手軽に除菌・消臭ができる商品の開発に着手した。体に優しい成分で様々な微生物やウイルスに対し強力な除菌効果を発揮する微酸性次亜塩素酸水は、清潔志向、安全志向の消費者ニーズを満たすものと確信があった。

 

各種展示会に積極的に参加し、『CIAQ ·1』シリーズの売り込みに取り組むと、ECサイト運営業者や業務用洗剤の卸売業者、理美容関連商品の取扱業者などから引き合いがあり、販路が徐々に拡大した。

 

また、平成20(2008)年4月に水道法が改正され浄水処理に使用される次亜塩素酸ソーダに含まれる塩素酸の数値基準が厳しくなると、同社は冷却装置や分析装置を導入。納入時に品質分析票を添付でいる態勢を他社に先駆けて整え、顧客先の信頼の獲得に努めてきた。併せて、水道用次亜塩素酸ナトリウム『ピュアークロン』シリーズの商品化にも着手した。

 

人材の確保で営業力強化をめざす

同社は、県内を中心とした周辺地域を営業エリアに、お客様が必要とする化学薬品や試薬などのルートセールスを展開する。小分けしたキュピテナーでの供給、またはタンクローリーからの直接供給など用途に応じた対応を行う。

 

須永社長は今後の課題について「お客様とのコミュニケーションを密にとりニーズをキャッチしたり、ルート上にある事業所を新規開拓したりと、売上拡大を図れる人材の育成と獲得をめざしたい」と話す。社員が少し余裕をもって日々の業務に当たることができる状態が理想で、そのための社内環境を整えたいと考える。自粛ムードで暗くなりがちな世相を背景に、今できることに真摯に取り組み、企業体力の向上に努めていく。

 

 

株式会社ミツワ化学

代表取締役  須永 正儀さん

高崎市鼻高町43-13

TEL:027-325-0925

 

高崎商工会議所『商工たかさき』2020年11月号

高崎の都市力 最新記事

  • 株式会社環境浄化研究所
  • シネマテークたかさき
  • ラジオ高崎
  • 高崎市
  • 広告掲載募集中