食品加工分野の製造装置

(2020年05月31日)

株式会社高木製作所

 

高性能なレーザー加工機をはじめ高機能設備が充実

真っ黒な壁面に若々しいパワーを感じさせる赤色をアクセントにしたモダンな四角い建物は、昨年1月に新設したばかりの本社工場だ。

 

株式会社高木製作所は、最新の設備を整え精密板金レーザー加工技術を駆使して、主に食品加工分野に特化した生産機械の設計から製造、据え付け、メンテナンスまで請け負っている。

 

食品製造の設備は、衛生面から“錆びにくい鉄”といわれるステンレス製のものが多く、同社で取り扱う素材の9割以上がステンレスだ。

 

工場内には、高速・低ランニングコストで稼働する薄板金属専用加工の「ファイバーレーザー複合機」。3次元モデルからそのままカットするため、加工指示図などの図面を省略し、加工・組立の工数も削減する「パイプレーザー加工機」等、高品質な精度を生みだし省力化を図るレーザー加工機能が充実している。

 

ほかにも、平面の板を曲げて立体化する工作機「ベンダー」が4台。溶接設備では、レーザーの光を熱源として照射し、金属を局部的に溶融・凝固させることによって接合する「YAGレーザー溶接機」や溶解金属を大気から遮断し金属の酸化を防ぎながら溶接を行う「アルゴン溶接機」などが揃う。そして、切断設備では帯状のノコギリを高速で回転させ鋼材を切断、ほとんどの一般鋼材の切断が可能な「NCバンドソー」が設備されている。

 

 

食品分野に特化 地域メーカーへの貢献度もアップ

創業は昭和26年(1951)。高木賢治社長は2代目となる。「1950〜60年代の高崎では自動車のヘッドライトやフォグランプの生産が盛んで、父はプレス加工の設備を整え、ライトの部品を生産していました。私は大学を卒業して家業に入ったものの、事業内容に興味が持てず、もっと凝ったものを作りたいと設備を一新しました。ですから2代目とはいえ、ゼロからのスタートでした」と振り返る。

 

「他者がやりたがらない凝ったものなら高価で売れる」という一念で、経験も技術も未熟ながら営業活動を開始した。受注した仕事は、1枚の図面に対し10個の試作品を作るなど、必死の試行錯誤を積み重ね、着実に技術力とノウハウを蓄積した。自らの経験から「受注こそ最大の教育」というのが、高木社長の持論となった。

 

高木社長が33歳のとき、即席麺プラントのトップメーカーの仕事を受注したのを機に、食品加工分野との取引が拡大した。景気に左右されにくい食品業界への進出が経営安定化の糸口になった。現在では、市内に本社工場のある大手菓子メーカーや健康食品メーカー、飼料メーカー等からの受注も増えている。技術力やニーズへの対応力はもちろん、近距離にある利便性もあって、地元への貢献という面からも手応えを感じている。

 

多能工を育成 “変幻自在”の技術者集団を目指す

「最近、私の携帯があまり鳴らなくなりました。お客様が直接担当の従業員と連絡を取ることが増えたからです」。顧客先から信頼される人材が育っている実感に、高木社長は嬉しそうだ。

 

同社の工場内は明るく広々とし、若手社員が自分のペースで作業を進める姿が印象的。18名の従業員の内、4人はインドネシアからの研修生で、敷地内の一軒家でプライバシーを確保しつつ共同生活を送っている。仕事場では先輩従業員からマンツーマンで加工機の操作を学ぶ姿が微笑ましい。

 

同社が目指すのは、顧客ニーズにフレキシブルに対応できる技術者集団で、高木社長はそれを“変幻自在”と表現する。その実現に向け重要になるのが従業員の『多能工化』。複数の製造工程を受け持つことのできる従業員の育成が欠かせない。それにより、従業員の業務負担を平準化できたり、繁忙期やイレギュラーな対応をカバーしたりすることができるほか、多角的な視点から発想できるようになり、ものづくりのアイデアも豊かに広がる。そして、常に声を掛け合うことでチームワークもよくなり強固な組織ができ上がるというわけだ。

 

 

従業員ファースト最高の職場環境を整える

「うちの従業員は優秀で頼もしい」と言い切る高木社長は、従業員たちが夢やモチベーションを高く持ちながら、生き生きと働ける職場を実現するために、自分ができることは何かと考えを巡らしている。

現在、社長が取り組んでいるのは、終業時間になったら社内の誰よりも早く退社することで、従業員たちも早く帰りやすい雰囲気づくりを行っている。「この4月からは完全週休2日制を導入すると宣言しました。給料を上げて休日を増やすには、生産性の向上を図ることが大前提」と不安半分の様子だが、ここは優秀な従業員たちを信じ、彼らが存分に力を発揮できるよう、意識改革や社内環境の整備に力を注いでいく覚悟だ。

 

 

株式会社高木製作所

会社概要

代表取締役社長  高木  賢治さん

高崎市倉賀野町3395-3

TEL:027-346-8205

高崎商工会議所『商工たかさき』2020年3月号

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