計測のチカラでものづくりを支える
（2020年05月30日）
株式会社ペリテック
製造業に最適な開発言語「LabVIEW」の技術を活用
株株式会社ペリテックは、計測・試験用のシステム開発に特化したシステムインテグレーターとして、１９８５年の創業以来、日本のものづくりに貢献し続けている。
ＩＣテスター装置をはじめ、同社が開発したテスターが自動車や半導体、食品等、様々な業界のリーディングカンパニーに導入されるなど、４,０００件以上の開発実績を残してきた。
井澤年宏代表取締役社長は社員数43名の地方の一企業が、業界の垣根を越え大手メーカーと直接取引を行える理由について、「『LabVIEW』というプログラミング言語に精通する技術者が社員の8割以上、LabVIEW認定プログラマーが日本最多数在籍している点が大きいです」と胸を張る。
LabVIEWとは、米国テキサス州に本社を持つナショナルインスツルメンツ社（ＮＩ社）が提供する開発環境のこと。グラフィカルプログラミング言語により、絵を描く感覚でソフトウェアを作成でき、専門のプログラマーでなくても、比較的容易に自動制御のソフトウェアを構築できる。その使い勝手の良さなどから、計測・制御・試験分野において世界での事実上の標準となっており、技術者や研究者の間で広く使用されている。
同社は、ＮＩ社のパートナー企業の中でも最上位の「プラチナ・アライアンスパートナー」に認定される国内屈指の存在だ。
「当社の開発のこだわりは、短時間で安定動作をする計測機能の実現。それはコストダウンというメリットをお客様にもたらします。常に最先端の技術を取込む開発力と、多彩な実績から培われたノウハウが両輪となって機能しているところが当社の強みです」と話す。
自社の教育プログラムから始まった教育事業
計測や試験分野の問題解決について、コンサルティングからシステム設計、開発までを一括して行う同社では、エンジニアへの要求が高く、ハードウェアやソフトウェアに関する幅広い知識、それらを包括したシステム全体を俯瞰する視野、顧客先が抱える課題に対する感応力などが重視される。
そのため、人材育成への熱心な取組みがあり、新入社員は9月までの長期教育カリキュラムで成長を手厚くサポートされる。ソフト・ハードの現場を交互に経験し、大小さまざまなプロジェクトの実践を経て、自身でプロジェクトを切り盛りできる人材へと成長していく。
このように社内で実際に行われ、高い効果を求めて磨かれた教育カリキュラムを、多くの企業が抱えるエンジニア教育の課題に役立ててもらおうと、２０１８年より教育事業が立ち上がった。
それが計測システムエンジニア育成プログラム『エムセップ』（Measurement System Engineer Program）だ。出された課題に対して受講者が自主的に学習し解決していくというＰＢＬ（問題解決型授業）を通して、解決するための設計手法や開発方法のポイントを学びながら、スキルアップを図ることができる。取り上げる課題は、インテグレーション事業で培った４,０００件の実績から抽出される。
また、２０２０年度からの小学校のプログラミング教育必修化に先立ち、現役のシステムエンジニアがキッズ向けのロボットプログラミング教室『エムセップ・キッズ』を開催してきた。レゴ社のインテリジェントブロックやレゴ・テクニックの部品の組み合わせでロボットを製作すると共に、『LabVIEW』を使用したロボット制御プログラムを作成する。ものづくりの楽しさを味わいながら、自ら学び、考え、実行する力を養う内容になっている。
さらに、この教育プログラムを活用したプログラミング教室『エムセップ・ジュニア』を開業したいという人材を募り、教室運営をサポートする事業も開始。全国展開をめざしていく。
会社は個々の夢をかなえる場所
井澤社長は、37歳で代表取締役社長に就任し、今年で4年目を迎える。小学生の頃から社長になるのが夢で、官公庁関係のソフト開発に従事した前職を経て、平成15年に同社に入社。技術職、営業職、経営企画室勤務を経験し、現職に就任して夢をかなえた。
また、取締役兼商品販売・営業戦略グループマネージャーの星野尚紀さんは、世界を股にかけて働くのが夢といい、ベトナム事業所やシンガポール支店の設立で、夢の実現が加速している。
「ベトナム人技術者とのコミュニケーションは英語です。堪能な星野の影響を受けてか、社員の中には英会話スクールに通いTOEICで高スコアを狙う者もいます」と井澤社長が言うように、“会社は自分の夢をかなえる場所”という共通認識が社員の中にもある。それが、自ら学び目標を達成するという企業風土を醸成し、同社の活性化につながっているようだ。
株式会社ペリテック
代表取締役社長 井澤 年宏さん
本社：高崎市片岡町1-17-2
TEL：029-328-6970
高崎商工会議所『商工たかさき』２０２０年４月号
