本社を東京から高崎へ移転
情報の共有化、作業の効率化を図る
株式会社ユタカ製作所
(2014年7月)
石﨑社長
国内トップシェアを誇る鉄道車両用の電気連結機器
新たに建築された本社兼組立棟
●鉄道車両をつなぐ技術で国内シェア90%
㈱ユタカ製作所は、鉄道車両用ジャンパ連結器(制御回路などの電源回路を連結する機器)や電気連結器など、鉄道車両部品の開発から製造まで一貫して行う。
特に、車両間の電気配線をつなぐ技術は突出しており、以前は車両の下にもぐって行っていた電気連結器の脱着作業を、運転席 のボタン一つで車両の連結と同時に電気系統の連結も可能にした。安全性や迅速性を大幅に向上させたその功績は非常に大きい。
同社の製品は、鉄道会社、鉄道車両メーカー、重電メーカーなどに納入されるが、ジャンパ連結器は国内シェア90%を占め、冷房用電気回路はJRの全車両に導入されている。
●部品の開発・検査・製造・メンテナンスに 鉄道各社とのパートナーシップで取り組む
国内で走行する鉄道車両の総数は約5万車両。車両の寿命は40年といわれ、国内では年間1,500〜2,000車両が新たに製造される。そうしたサイクルに合わせ、同社も新製品の開発に設計段階から関わる。小型・軽量化のため素材にアルミニウムなどを用い、電車の走行を原寸で再現する試験室で、安全性や耐久性をテストする。また、メーカーや電車の種類により部品の仕様が異なり、製造現場では手作業で行われる工程も多いそうだ。同社では部品のメンテナンスも担うため、古くから鉄道各社と厚い信頼関係を築いている。
●高崎工場の始動から半世紀
-新社屋・工場の完成-
昭和23年に、元日本国有鉄道の設計者だった牧豊一氏が東京都大田区に合資会社ユタカ製作所を設立。鉄道車両用ジャンパ連結器の製造を手がけ、国鉄の指定メーカーとなった。昭和30年代後半には国鉄の輸送力増強、電化区間延長により受注が増加した。生産力強化のため、そのころ造成された高崎の八幡工業団地に高崎工場を建設した。
そして、およそ半世紀が経過した今年4月、製造の拠点となっている高崎工場に組立棟と新事務所棟を新築し、本社機能を東京都大田区から移転した。
「移転の構想は数年前から持っていました。老朽化への対応はもちろん、本社と工場との情報の共有化による迅速な経営判断が望めることが大きいです。事務機能の統合や省エネ効果、快適空間の実現などで、経費削減や社員の意欲向上などプラスの効果が期待できます」と話す石﨑社長。
国内トップシェアを誇るメーカーが新たに高崎の地で走り始めた。
株式会社ユタカ製作所
代表取締役社長:石﨑昌義
住所:高崎市剣崎町68
TEL:027-343-7522