映画祭のファンから、映画館の支配人に
シネマテークたかさき 支配人 小林 栄子さん
(2014年4月)
「今までリーダーのポジションになったことがないので、プレッシャーを感じています」と話す小林栄子さんは、平成26年1月に『シネマテークたかさき』の支配人に就任した。これまでは副支配人として裏から支えることが多かったが、ひたむきに映画と向き合い続けてきた姿勢が認められ、開館10年目となる今年、支配人の責務を譲り受けることになった。
中学生のころ高崎映画祭での上映作品に魅了されて以来、毎年欠かさずに通っていたという。「誰も知らないような映画をやっているのに、多くの人が集まっていてとても印象深かった」と語る。大学を卒業し高崎に戻ると同時に映画祭のボランティアに参加した。数年が経過したところに常設の映画館を設立することとなり、準備段階から携わった。「映画祭のボランティアにやりがいを感じていて、『新しくできる映画館のスタッフにならないか』と声をかけられたときは二つ返事で受けました」。
支配人になって業務が今までと格段に変わることはないが、人材を育てなくてはいけないという責任感がより一層強まったという。現在の『シネマテークたかさき』はスタッフ10人の少数精鋭部隊。社員・アルバイト関係なく誰もが映画館の運営に取り組める環境でなければ、お客様に安心して映画を楽しんでもらえないと考えている。
日中は近隣への上映案内や広告募集の依頼などを精力的にこなす一方、配給元との連絡は遅い時間帯が通例のため、やり取りは深夜まで及ぶこともある。そうした業務の合間を縫って、時間の許す限り映画を鑑賞し上映する作品を選定する。「映画は台詞、映像、音の総合芸術なので、実際に観ないと選べません。時間がとてもかかりますが、数多くの作品に触れられるので幸せです」と映画好きならではの一面が垣間見える。
映画館の運営と並行して映画祭の準備も進める中、なかなか休みが取れない。やっと取った休暇も気がつくとスクリーンの前に座ってしまっている。視野を広げるための時間を設けることを意識し、美術館を訪れたり、地図を持たずに知らない街を散策するなどしてリフレッシュする。
「開館から今まで存続してこられたのは、お客様あってのこと。これからも素敵な非日常を提供する場であり続けたいです」と良質な映画を発掘し、その魅力を発信していくことに情熱を傾ける。
シネマテークたかさき
高崎市あら町202
電話:027-325-1744
HP:http://takasaki-cc.jp/