なるほど役立つ「ジェトロ群馬」活用術
(2018年10月29日)
頼れるビジネスパートナー
日本貿易振興機構(JETRO=ジェトロ)の群馬貿易情報センター(ジェトロ群馬)が高崎駅ビル・モントレー2階に開所した。ジェトロ群馬は、輸出や海外進出に挑戦する群馬県企業をサポートしてくれる、たのもしいビジネスパートナーだ。「うちは海外進出なんて関係ない」と考えている経営者も、将来に役立つ情報を入手できる。
待ち望んでいた群馬県事務所
ジェトロは国内に47拠点、海外54カ国74事務所を展開し、諸外国との貿易拡大、経済協力を促進する活動を行っている。
群馬の実業界が待ち望んでいた群馬貿易情報センターは国内46番目の貿易情報センターとして、2018年7月2日に開所、8月1日に式典が行われた。
柴原友範所長が就任し、職員6人体制で海外の経済情報・貿易情報の入手、海外取引先の開拓や海外進出、貿易・投資の相談等を行っている。
開所以降、毎月100人を超える来訪者、80件から90件の相談を受けており、海外進出に対する県内企業の潜在需要を掘り起こしている。
全ての企業がやがて直面する問題
群馬県は高度なものづくりや豊富な農林畜産資源、加工技術を持っている。首都圏に近接する優位性などから国内市場に強みを発揮している一方で、群馬のブランド力などを重視してこなかった面もある。海外市場への意識も同様で、リスクをとって海外で冒険をせずともやってこれた。しかし、日本国内は人口減少・市場の縮小が進行し、今すぐに必要性を感じなくても「企業経営の選択肢として海外市場に目を向けておくことが大切」とジェトロ群馬の柴原所長は考えている。
「海外ビジネスのすそ野を広げていきたい」と語る柴原所長。ジェトロ群馬の支援内容について聞いた。
◇ステップ1◇
チャンスを発見 まず最初はセミナーがおすすめ
ジェトロ群馬は、海外ビジネスなどに関するセミナーを開催しており、海外展開を予定していない経営者にも参加してほしいという。海外市場はどんなところで、どんなチャンスがあるのか、他の企業がどんな取り組みをして、どんな成功や失敗があるのか知ることができる。セミナーの受講は、話を聞くだけなのでリスクもない。「海外は関係ない」という考えから「うちにもできるかも」に変わり、海外ビジネスへの関心が高まるだろう。
◇ステップ2◇
交流会で仲間がつながる
英語はわからないし不安もいっぱい
海外ビジネスについて関心があっても、やはり外国は遠い存在だ。「英語もわからないし、社内に海外ビジネスのノウハウもない」「周りに相談相手がいなくて心細い」という経営者も大勢いるという。こうした似た者同士・同じ境遇の企業、海外経験を持つ企業、支援機関などが参加する交流会がセミナーの後に開催されている。
支援機関もジェトロ群馬、金融機関、高崎商工会議所、群馬県・高崎市などの自治体等があり、交流会では異業種のつながりを持ってもらうのもねらいだ。
仲間とのつながりを持つことで、海外の話題が自然に入ってきて海外ビジネスを身近に感じるようになる。交流会で悩みを語り合って意気投合、お互いに支え合うパートナーになったということもあるようだ。
セミナーと交流会は海外ビジネスへの第一歩となるものだ。「最初の一歩を踏み出すことが大切。しかも最初の一歩は歩幅をできるだけ小さくすることが大切だと私は考えています」と柴原所長は語る。
◇ステップ3◇
周到な準備でチャンスを逃すな
よし、やってみよう! でも何から?
海外展開をしていこうと決心すると、経営者の意欲も高まり具体的に動いてみたくなる。海外へのビジネス展開というと、まず海外での商談会・展示会に出展というイメージが強いが、いきなり出展してもうまくいかないケースもあり、意気消沈して海外への意欲を無くしてしまう経営者もいるそうだ。
「今から海外展開をする企業は、後発であることを考えに入れておくことが重要です」と柴原所長は語る。既に世界中に日本の製品やサービスが展開されており、後から戦いを挑むには周到な「作戦」が必要だ。先行企業が進出していない国や地域、まだ売られていない商材など事前のリサーチが勝敗を決する。例えば日本酒は世界に広がっているが、「ここが違う」というブランディングが決め手になる。貿易の手続き、相手国の法規制など実務を知ることも必須となる。
ジェトロ群馬は、この「作戦」づくりを支援し、海外ビジネスをゼロからスタートできるよう、ワークショップも開催している。ジェトロ群馬には貿易のエキスパートが常駐し、更にジェトロ本部には国別、産業分野別の専門アドバイザーが40人もいるそうだ。こうしたサポートはジェトロの真骨頂で「遠回りのようですが、準備の仕方で成果が大きく変わります」と柴原所長は語る。
◇ステップ4◇
国内外の見本市にも出展
専門家が伴走するハンズオン支援がすごい
海外進出の準備ができた企業、できている企業には「どんどん行動してもらえるようにたくさんの支援プログラムがあります」という。国内外のバイヤーとの商談会、見本市へ出展するチャンスもある。海外開催の見本市ではジェトロの日本ブースに出展することもできる。日本ブースへの出展は、品質のブランド化につながる。
こうした企業に専門家を派遣し、計画の策定から海外商談会・展示会の同行までジェトロの費用負担で支援する「ハンズオン支援制度」があり、「たいへんに手厚い制度で、全国の企業で活用されている。群馬はまだ10例ほどで、これからに期待している」と柴原所長は周知啓蒙に力を入れていく考えだ。
満足度は99.2%
ジェトロ群馬が8月23日に開催したセミナー・交流会の参加者アンケートで、満足度は99.2%。「ジェトロ群馬が開設され、海外ビジネスの話題が増えた、海外進出の気運が盛り上がってきたと感じてもらえるよう、がんばっていきたい」と取り組んでいる。
なお高崎駅ビルのジェトロ群馬事務所は「全国で最も便利な立地」ということだ。
ジェトロ群馬メールマガジン
今後のイベント情報などについては、ジェトロ群馬のメールマガジンで順次ご案内。関心のある方はホームページより登録を。
https://www.jetro.go.jp/jetro/japan/gunma/mail.html
群馬貿易情報センター(ジェトロ群馬)
高崎市八島町222
(高崎モントレー2階・群馬銀行高崎駅出張所跡)
電話 027-310-5205
営業時間 平日 午前9時〜12時 午後1時〜5時
高崎商工会議所『商工たかさき』2018年9月号