1年後大きく様変わりする高崎駅西口
(2016年12月27日)
「高崎オーパ」を機に駅前開発が加速
2017年秋にオープンをめざしている高崎駅西口の大型商業施設「高崎オーパ(仮称)」の建設工事が進み、鉄骨の組み立てが始まっている。高崎駅西口からオーパ、高崎髙島屋を経てウエストパーク1000に至るペデストリアンデッキ工事が高崎市によって行われており、高崎駅西口は日々刻々と変貌している。
「商工たかさき」 2016/11号より
●駅前開発の中心となる都市型ファッションビル
9月29日に高崎オーパの出店者募集説明会が高崎商工会議所大ホールで行われ、イオングループの株式会社OPAから店舗概要について説明があった。
OPAの説明によれば、高崎オーパは、最先端トレンドを提案する駅前立地の都市型ファッションビルに位置づけられ、地上8階で、テナント数は150店舗(賃貸面積7,850坪)を予定している。
フロア構成は、1階がスーパー・食品、2階から6階がファッション、7階・8階がフードコート・レストランとなっている。スーパーについては、イオングループが出店予定で、ファッション等の出店者は公表段階ではないとした。
2階から4階と、5階〜6階、7階〜8階がそれぞれ吹き抜けとなっており、7階と8階は高崎駅方向を眺望の良いガラス張りにする予定。
●高感度な商品ブランディングで埼玉北部を含む商圏244万人
商圏は車で60分を目安に、南は熊谷、東は太田、西北は群馬県内全域を考え、商圏人口として244万人を想定している。ターゲット層は10代から50代とし、60代以上も含め幅広い年齢層にファッションを提案していく。
高崎オーパについては、これまでの発表で、高感度ファッションや周辺地域になかった話題のショップ、地元ブランドショップを融合させた新しいファッションビルを構想しており、既存店をプロトタイプに、「高崎という都市環境、文化背景を生かした最新モデルにバージョンアップしていきたい」という。地元ブランドやクオリティの高いものづくりなどを積極的に取り入れ、地域とのコラボレーションを展開していく考えだ。
●西口周辺の駐車場整備も進む
高崎オーパは、まちなかの回遊性確保を目的に、店舗建物内に駐車場を持たず、周辺駐車場と契約していく考えだ。公営駐車場であるウエストパーク1000とペデストリアンデッキで接続されるが、高崎オーパの開店によって西口エリアの駐車場需要の増大が見込まれる。
東二条通りの西側ではココパルク西口駐車場(仮称)の建設が進められており、地上9階建て、駐車台数約500台の立体駐車場が計画されている。ココパルクは、ホテルココグランを経営する木本製菓グループの駐車場で、高崎駅東口に続いて同社2棟目の立体駐車場となる。高崎オーパの来店客に利用してもらう駐車場として計画されているが、24時間営業で夜間の利用者も視野に入れており、同社の木本貴丸専務は「高崎駅西口の駐車場需要を開拓できる」と話している。入出庫の交通動線を入念に検討し、周辺地域への配慮と利用者の利便性に努めたい考えだ。ココパルク西口駐車場は、来年の8月頃にオープンさせたいという。
●デッキとつながる高崎髙島屋の改装戦略
高崎市が進めるペデストリアンデッキ工事は、高崎駅西口と高崎オーパをつなぐ第1工区、高崎オーパから高崎髙島屋を経てウエストパーク1000へ至る第2工区に分けられている。
高崎髙島屋は2階部分でペデデッキと接続し、高崎髙島屋の難波斉社長によれば、2階の南東部(高崎オーパ側)と東側に新しく出入り口を設ける予定という。ペデデッキの地上高は4・4mで、2階の床面には1mほどの高低差があるため、スロープによるバリアフリー化をはかるとともに、デッキ上に広い箇所ができるのでイベントスペースとして活用したいと考えている。
高崎髙島屋の顧客層は、団塊の世代の60代に加えて30〜40代も多く、2つの世代がメイン顧客層となっているのが、他のグループ店には見られない大きな特徴だという。県下随一の品揃えである化粧品については20代からも支持を得ており、高崎オーパの客層を高崎髙島屋ならではの魅力で、引き込んでいきたいと戦略を練っている。
ペデデッキと接続するための改装工事に先行し、婦人靴売場の拡張と20代から30代を狙った品揃えの強化を行い、売上を伸ばしている。強みである化粧品部門においても自然派コスメの新設とメイキャップゾーン強化を来秋までに行い、20代から40代女性の更なる集客と滞留時間の伸長を考えている。
高崎髙島屋の来店客は、現状ではウエストパーク1000の比率が少なく、デッキ接続によってパーク1000と高崎オーパ、高崎駅西口を往来する若年層の新規客が期待でき、アクセサリーやバッグ類、コンテンポラリーなアパレルも強化していくという。
●商都高崎の新たな魅力づくりに
ココパルク西口駐車場(イメージ図)
外観は高崎の景観にふさわしいデザインとする予定
ココパルクの木本専務、高崎髙島屋の難波社長が語った取組みは、高崎のまちづくりの上でもヒントになるだろう。高崎オーパの開店によって、高崎の商業地図は大きく変わる。まちなかの交通動線の工夫や、既存客の満足度を高め、新たな客層を呼び込む回遊性づくりは、中心商店街全体に及ぶ重要な取り組みである。「銀ぶら」という言葉があるが、難波社長は高崎のまちなかを歩く楽しみを創出していきたいと考えている。中心商店街の活性化は、長年にわたって全国的な課題となっているが、高崎は発展が注目され、集客の増大が見込まれるという好機にある。これまで培ってきた高崎駅東西の大型店と商店街の連携を更に強化し、業態の垣根を越えた相乗効果を生み出すことが、これからの商都高崎に求められる。
(商工たかさき・平成28年11月号)