個性が光る!寄りたくなる店
(2016年09月26日)
歩きたくなるまちなかへ
来年秋に開業が予定されている「高崎オーパ」は北関東最大の都市型ファッションビルとして、駅前の賑わい創出に大きな期待が寄せられている。
どんなに魅力的な大型商業施設ができても、それしかないまちは面白くない。まちなかの“通り”に人々が暮らし、色々な商いがあるという多様性こそが、まちを面白くする要素になるはずだ。高崎のまちなかも、まだキラリと光る個性的で魅力的なお店がいくつもあるので、ご紹介したい。
「駐車場が無いので不便だ」「お店が小さいので、大型店のような品ぞろえができない」など、まちなかで商売するデメリットは良く聞こえてくる。ではメリットはどうだろうか。暮しの利便性、職住一体、隣人との良好な関係性などが、まちなかの良さだろうか。こういったメリットは確かに見出しにくい世の中になっているのかもしれない。それ以外にも、自転車で移動できたり、郊外よりもスローな感覚が得られたり、意外といろいろ近くに揃っていたりすることも魅力ではないだろうか。
そして最近、まちなかで魅力を放っているお店を見てみると、古くからまちなかにあるお店では、長年の経験や知識を生かして専門性を高めていき、常連客を獲得している。比較的新しいお店では、店主の感性で選んだブランドや商品で人気を集めるセレクトショップもある。決して大きな店舗でなくても、魅力を発信しているお店はまだまだある。それらのお店は市内だけでなく、市外からも集客している。
それほど広いエリアでなく、20〜30分歩けば大体のお店に歩いていける距離感も、まちなかの良さ。そして路面にあるお店が、人々の記憶にも残り、まちの歴史を作っていく。長く続いている店であればあるほど、世代を超えて多くの人が通うことになるだろう。店主やお店で出会う人とのコミュニケーションも記憶の一つになる。
本特集で紹介したいくつかの「寄ってみたくなるお店」を点のように結んで、是非もう一度、まちなか歩きを楽しんで欲しい。
「商工たかさき」 2016/8号より
matka(マトカ)
高崎市本町122
TEL:027-386-2428
営業時間:11時〜19時
定休日:火・水曜日
http://www.matka122.com
●丁寧な暮らしを提案。オーナーの感性が光る店
毎月作家物の器などの個展やイベントを開催している「器と生活道具の店」マトカは、今年の秋オープンして丸3年。都内のギャラリーに足を運んでいたような器好きの人達が徐々にマトカファンとなって店を訪れている。
オーナーは一級建築士の吉井淳一さんと料理家の美晴さんご夫妻。お二人の感性がぴたりと合った店舗は、かつて造り酒屋だったという風情ある建物だ。照明を落とした店内には、豊かで丁寧な暮らしを提案する、作り手の思いがこもった商品が並ぶ。
美晴さんは「男女問わずリピーターさんが多いので食器棚になんとなく統一感が出るような、奇抜すぎず長く愛用頂けるものを選んでいます」と話す。自分のために入れる一杯のコーヒー。大切な人のために料理を盛る皿。もてなしの菓子をひとつ乗せる小皿等、上質な器は目と心を楽しませ、生活に彩りを添えてくれる。
作家とのコラボで生まれたマトカ・オリジナル商品第一弾は木工作家によるドーナツコーヒードリッパー受けだ。コーヒーを入れる時間も愛おしく、大切になる。
オーナー夫妻の感性と笑顔に惹かれ、ゆっくりとそして確実にファンを増やすマトカ。コーヒーと音楽を楽しむイベント「LOUNGE COFFEE MUSIC」(8/11〜28)では終日、カフェスペースも楽しめる。
金澤屋
高崎市本町65
TEL:027-322-3571
営業時間:10時〜19時
定休日:水曜日(祝日の場合は営業)
http://www.kanazawaya.ne.jp/
●選び抜かれた寝具で最上の眠りを提案
天保七年に創業し、今年180年の金澤屋。7代目当主の本木毅さんは「人生の3分の1と言われる睡眠は、起きている時間を充実させるための休息時間」と捉え、「日中の活動的な行動の源は夜の深い眠りにある」と考えている。
同店が提案する商品の大黒柱は、オーストリア製のベッドとマットレスシステムだ。木とラテックス(天然ゴム)を使ったベッドは、ひとり一人異なる体型や体重、寝姿勢に合わせて調整できるのが特徴。体をしっかり支えることで、最上の寝心地が味わえる。「枕が支えるのは頭から肩までの全身の2割程。睡眠に悩みのある方は、体の8割を支える敷布団やマットレスこそ見直してほしい」と話す。
店内は靴を脱いで上がり、自宅にいるかのように気軽に寝心地を試せる。枕も、自然素材のウールの粒型入りや中の出し入れが調整可能なものなど多品目そろう。カバー類は麻素材、生成りを中心としたナチュラル系が多く、落ち着いた寝室を演出できる。寝具以外の雑貨や衣類もそろえ、着心地や風合いが良く、長く使ってこそ分かる価値ある商品が並ぶ。
「寝具は寝るための道具。生活向上のため、その人に合った寝具を選ぶお手伝いをしたい。寝室の温度や湿度、音楽など、快適な夜のためのライフスタイルショップとしてご活用頂けたら」と語る。
香り専門店 瑞香庵
高崎市北通町63番地(八間道路)
TEL:027-322-5350
営業時間:10時〜18時
定休日:日祝日
駐車場:有
●高崎藩の殿様がたしなんだ香道を伝える香り専門店
“香り”を取り入れたやすらぎの空間で、心身ともにリラックス。そんな香りを身近におく心地よいライフスタイルを提案する店。外観の「香」の字が目印だ。
「白檀」や「伽羅」など伝統的な香りに加え、花々の華やぎを和のお香に生かしたものや、天然ハーブのやさしい香りなど、多彩な香りを気軽に楽しむなら、スティック状やコイル状、渦巻き状の「室内香」がお勧め。
また、名刺入れに入れておくだけで、ビジネスシーンが華やぎ、好印象間違いなしの「名刺香」は近年人気の逸品。
瑞香庵は明治44年創業。3代目の店主柴田英哉さんが、かつて江戸時代中期に高崎藩主を3代にわたって務めた安藤家が伝える「安藤家流香道」の家元に師事し、香道を今に伝えている。
香道の原点は香りを楽しむこと。香道では香りを“聞く”といい、香りを鑑賞する “聞香”と、数種類の香りを組合せてテーマを表現し、趣向を味わう“組香”の二つが主な要素となっている。“七夕香”や“源氏香”など、季節や古典を題材にして、より味わい深い時を過ごせるのが香道の醍醐味。瑞香庵では、毎月第一木曜に香道教室を開催。初心者も歓迎する。香りに誘われ、伝統的な風雅の世界に遊んではいかが?
Lotus (ロータス)
高崎市通町19
TEL:027-320-6165
営業時間:11時〜20時
定休日:水曜日 駐車場:有
http://www.lotus-clothing.com/
●“街、店舗、ブランド”この場所を拠点に“好き”を発信
洋服好きが高じて自分たちの店を持とうと考えた高田さんご夫妻。高崎で育った2人は、街中の路面店にこだわり、気になっていた戦後間もなく建てられた小さな一軒家を店舗としてオープンし、今年15周年を迎えた。他にイオンモール高崎とけやきウォーク前橋にも各1店舗ずつ構える。
商品をセレクトする基準は、「自分たちが気に入ったもの」と話す奥様の亜弥子さん。つまり「洋服でいえば素材感を大切にした肌に優しい服。シンプルなものと遊び心があるもの。年齢を重ねてもずっとおしゃれを楽しめるもの」。顧客層は主に20代後半以降。70代でも上手に着こなすおしゃれ上級者もいる。
最初は、和テイストのブランド「パラスパレス」の藍染めやインディゴブルーの洋服からスタートし、今では20種ほどのブランドを扱うようになった。中でもDANSKO(ダンスコ)のコンフォートシューズは、県内では唯一同店が取扱う。デザイン性と機能性を兼ねていて、亜弥子さんのお気に入りにもなっている。
服飾メーカーとのパートナーシップを意識しながら、自分たちがセレクトした品をお客様に自信をもって提案していく。「敷居が高いと感じる初めての人にも、気軽に商品を手に取ってほしいので、接客は若いスタッフにお任せです」と笑う。
SABI
高崎市通町60
TEL:027-325-0225
営業時間:12時〜18時30分
定休日:火・水曜日
http://sabilife.exblog.jp/
●生活にまつわる厳選された雑貨が並ぶ店
県外からも足を運ぶファンのいる店SABIは今年オープン11年目。長年、衣料や雑貨の輸入卸を手掛けてきた兼谷純一さんと雑貨好きの陽子さん夫妻の目利きで選び抜かれた上質なものが並ぶ。
コンセプトは「暮らしを通して実際に使ってみてよかったもの」。作家物の器、伝統的な鍋やザル、籠、ホウロウの薬缶などの生活道具や、モロッコ、インドネシア、インドの素朴な食器。リネンやオーガニックコットンによる飽きのこない洋服。作り手の見える安心安全なお茶やコーヒー、お菓子。手肌に優しいソープなど、一品一品に深い思い入れが感じられる。
陽子さんは「安い物はつい使い捨てにしてしまう。少し値段が張っても良質なものは長持ちして、生活に馴染む。そんな愛着が感じられる商品を提案しています」と話す。例えば、竹製の弁当箱はおにぎりやサンドイッチを入れても型崩れしないしっかりした作りで、小物入れにもなり使い道も豊富だ。徐々に竹の色が変化して風合いが増すのも自然素材だからこそ。定番商品の他、日傘や帽子など季節アイテムも並ぶ。全体的に「甘すぎないユニセックスなテイスト」は、お二人の好みだ。毎週土曜日には人気の天然酵母パンが桐生から届く。丁寧な生活のヒントがここかしこにある店だ。
Belluria (ベルーリア 高崎店)
高崎市連雀町11-3
TEL:027-387-0308
営業時間:平 日12時〜20時
土日祝 11時〜20時
定休日:木曜日
http://belluria.net/
●職人による一点ものと普遍的な服〜伝統と洗練さを兼ね備えたセレクトショップ
会社設立15年。「職人さんが、真摯に作り続ける変わらないデザインこそがベルーリアのスタイル」とオーナーの山越弘世さんは話す。アクセサリーブランド『市松』は地金に火を浴びせ金槌で打ち、金属を締めて作る日本刀のような手業から成る。鳥取、島根の民藝の窯元から直接買い付ける器たちはろくろによる手作り。ニューヨーク郊外の小さな町のハンドメイドの靴、『オーロラシューズ』は定番アイテム。革製品のオーダーメイド『N25』は革職人により一針一針手作業で作られる。特に、カラーや口金を選べるがま口の財布は人気商品で、全国唯一の取扱店として注目されている。
日本やヨーロッパのアンティーク家具を什器に用い、アフリカの工芸品やアメリカの工業用の照明などがさりげなく配置された洒落た店内は、古物商とも懇意にするオーナーの目利きが光る。
2階は白を基調に、フランスの映画館の椅子やコートフックなどのアンティークの什器にメンズ、レディースの上質な服がマッチする。サンシャインクラウド、ヤエカ、オアスロウなどのブランドを中心に、ベーシックだがトレンドをおさえた大人のカジュアルコーディネイトを提案。
11月には6回目となる好評の“食とアートと音楽”のイベント『Local Breeze vol.6』を開催する。
きもの彦太郎 (㈱宮崎)
高崎市宮元町223
TEL:027-310-3318
営業時間:10時30分〜18時
定休日:水曜日
http://www.hikotaro.com
●和装を日常に取り入れる文化を発信 イベントやミニコンサートも開催
古民家を改装した店内には、粋な着物がゆったりと並ぶ。オリジナルブランド「遊粋和楽」は、生地や色、産地にこだわった一点ものをコンセプトに、手頃な価格で展開し好評を得ている。「着たい時、気軽に和服を着られる環境を作りたい」と和文化を楽しめる店づくりに努める小池豊店長。彦太郎のイベントやミニコンサートには、和服姿の男女が集まる。
浴衣を着て街をそぞろ歩きし、夕食を楽しむ企画には沢山の男女が集まる。「和装は日常と切り替えられて楽しい」と話す女性や「女房と店に来てつい私が買ってしまって」と浴衣を着る男性など、着物は人生を楽しむエッセンスとして一役買っている。
最近の傾向として、男性の着物ファンが増えているという。「20代の学生が着流しで歩いてみたいとか、ご年配の方がちょっと出掛ける時に着ていきたいなど、おしゃれな方が多いですね」と小池さん。
ランチ会付の着付け教室では、食事の際の袖のあしらい方など、和装ならではの立居振舞についてワンポイントアドバイスをしてくれる。「欧米では浴衣や着物でレストランを訪れると一等席に案内される程、歓迎される」とか。南銀座商店街から和文化が見直され始めている。創業感謝祭(10/21〜23)は本社問屋町にて開催。
TODOKORO
高崎市檜物町107
TEL:027-322-1766
営業時間:9時30分〜19時
年中無休
駐車場:有
●心地よく楽しくおしゃれな店
通りの雰囲気が良いと評判の南銀座通り。その一角にある「TODOKORO」には、婦人服、バック、生活小物やジュエリーなど、贈答品としても喜ばれる品々が所せましと並んでいる。
外処夫妻の親しみやすさ。そして、奥様の淑美さんが長年培った経験と人脈を生かし、“他ではなかなか手に入らない日本製品”にこだわった仕入れが魅力で、「必ず掘り出し物が見つかる店」として、多くの女性客に支持されている。
創業は昭和34年。先代が時計・ジュエリーの店として開業したが、時代のニーズに応じてジャンルを拡げてきた。
例えば、草木染のウェアを中心とした福岡発のブランド『菜』や、東京発のレースの婦人服ブランド『麗』は、着心地と素材感を大切にしながらデザイン性も抜群。目の肥えた中高年女性に人気のセレクトショップである。
また、根強い愛用者が多い『横浜ナナ』のタオル製品は、ハンカチ、エプロン、バッグなど色やデザインの種類も豊富。その他、プチポワンの刺繍が入ったポーチやバッグ、高崎のガラス工芸作家・木村明さんのガラス製品などもあり、モノ選びが楽しくなる。迷った時のアドバイスも大助かりだ。「着ていたら褒められた」「差し上げたら喜ばれた」というお客様の声を力に心のこもった店づくりを実現する。
(商工たかさき・平成28年8月号)