金融機関のビジネスサポート（４）
（2021年09月29日）
高崎信用金庫
高崎信用金庫本店
資金繰りと事業継続を徹底支援
高崎信用金庫は、地域の中小企業支援として「創業・第二創業」「販路開拓」「事業承継・Ｍ&Ａ」「経営相談・技術相談」など６項目の取り組みを強化している。地域サポート部地域活性化推進室の清水宗高室長に話を聞いた。
コロナ禍の経営課題を徹底的に
令和２年度は、コロナ禍に苦しむ中小企業支援が大きな使命となり、「コロナ禍に苦しむお取引先の資金繰りと事業継続を徹底的に支援することに全力で取り組んでまいりました（令和２年度高崎信用金庫ディスクロージャー新井久男理事長あいさつ）」の一文に集約できるそうだ。
「高崎信用金庫の強みは全庫約１００人の営業担当によるフットワーク。取引のあるお客様だけではなく、新井理事長の指示により、高崎地域の事業所を全て回らせてもらおうと、コロナ禍の企業支援に徹底的に取り組みました」と清水室長は語る。
ゼロゼロ融資は２千件、７２７件に及ぶ経営相談
全庫の取り組みによって無担保・無利子のコロナ関連融資（ゼロゼロ融資）は２,０００件の実績となっているそうだ。
顧客が直面している課題として「当面の運転資金に加え、減少した売り上げ対策が必要」とし、高崎信用金庫は経営支援活動に取り組んでいる。
事業者が抱える相談に対応する「事業サポート相談」には７２７件（令和２年度）の相談が寄せられ、課題解決に向けてサポートを行っている。
高崎信用金庫と一般社団法人群馬県中小企業診断士協会が連携した訪問型の経営相談「たかしん一日巡回経営相談サービスⅠ型」は、平成22年度から提供しており、令和２年度は１０５社が利用した。サービス開始以来９４６社が活用している。専門家を派遣する「Ⅱ型」も実施しており、令和２年度は３社が利用したそうだ。
本業支援・事業承継支援が需要増
顧客企業の価値を向上させる本業支援の取り組みとして、売上向上や製品開発に関連した支援を行っており、令和元年度は１７１件、令和２年度は３４１件と大きく需要が伸びている。また１０２社に対し経営改善支援を行っているほか、顧客に対して職員が訪問しながら経営支援を行っている。
中小企業・小規模事業者の高齢化、少子化の影響も重なり後継者問題が顕在化している。高崎信用金庫は、「事業所数の減少は雇用機会の喪失や地域経済を停滞させる要因であり事業承継は喫緊の課題」として円滑な事業承継に向けた支援を行っている。
コロナ禍に対応しスピーディーに融資
営業時間の短縮等の要請に応じた飲食店事業主に支給される協力金が支給されるまでのつなぎ資金として、申請金額の範囲内の短期融資「たかしんクイック・ビズ３００」を令和３年５月に開始し、令和４年３月31日まで取り扱っている。
一刻でも早く資金を手にしたい事業者のニーズに応え、スピーディーな回答・融資を行う。融資金額は３００万円以内、融資期間は６カ月以内。一括返済。利率は１％。担保は原則不要。
また新型コロナウイルス感染症の影響を受けている法人・個人事業主などに向けた運転資金「たかしんビジネス応援団」を令和４年３月31日まで、収入が減少している個人客への生活資金支援ローンは、取り扱い期間を何度か延長し、令和３年９月30日まで実施している。
事業者のがんばりを支えたい
コロナ関連の補助金等は種類が多く「知らない事業者の方も相当いらっしゃるようです。ぜひ上手に活用してほしいです」と相談に来てほしいそうだ。
「資金繰りについては、昨年から見ると一服しているようですが、売上減、利益減にどのように取り組んでいくかが現在、経営者が抱えている課題だと思います」と清水室長は語る。
「事業者の皆さまのがんばりを応援し、地域経済の元気に貢献することが私たちの存在意義ですから、しっかりお客様に向き合っていきます」と清水室長は力を込めている。
たかしんビジネスプラン・コンテスト2021
高崎信用金庫では、高崎市との包括的連携協定により、若者・大学生の人材育成として、「たかしんビジネスプラン・コンテスト」を平成30年度から実施している。
昨年は新型コロナウイルス感染症の感染拡大が続いていることから中止となった。
応募対象者は、高崎市内の９大学に在籍している学生。育英大学、育英短期大学、群馬パース大学、上武大学、高崎経済大学、高崎健康福祉大学、高崎商科大学、高崎商科大学短期大学部、新島学園短期大学で個人でもグループでも応募可能。締め切りは令和3年9月30日。12月18日（土）の最終審査プレゼンテーションで入賞者が決定される。最優秀賞１組、優秀賞２組、入賞５組で商品券贈呈。
高崎信用金庫
新井 久男理事長
本店：高崎市飯塚町1200-1
電話： 027-360-3000
店舗：29店舗
高崎商工会議所「商工たかさき」 ２０２１年９月号
