2050年 カーボンニュートラルの実現に向けて(1)

(2021年05月31日)

言葉を並べるのは簡単 並大抵の努力ではできない

倉渕発電所  高崎市は、破綻したゴルフ場計画地に民間活力を導入して出力8MWのメガソーラー発電所を2016年に稼働させた。付帯設備としてサッカー場とトレイルランニングコースを備えた倉渕水沼公園が開園。園内には「くらぶちこども天文台」も開設されている。

温暖化対策が大加速

菅首相は2020年10月の臨時国会の所信表明演説で、成長戦略の柱に経済と環境の好循環を掲げて、2050年までに、温室効果ガスの排出を全体としてゼロにするカーボンニュートラル、脱炭素社会の実現を目指すことを宣言した。

これまで日本は「地球温暖化対策計画(2016年)」で、実現可能な削減目標として2030年度に、2013年度比でマイナス26.0%、2050年度に80%の水準にすることを示しており、今回の菅首相の宣言は、計画の見直しを加速するものとなっている。

菅首相の所信表明をきっかけに、二酸化炭素の排出抑制に取り組む「カーボンニュートラル」が改めて認識を深め、カーボンニュートラルに伴う成長戦略の議論も熱気を帯びている。

10月の首相演説では、環境問題への取り組みは、産業構造を変革し、経済と環境の好循環を生み出すとしている。温暖化への対応は経済成長の制約ではなく、積極的に温暖化対策を行うことが、産業構造や経済社会の変革をもたらし、大きな成長につながるという発想の転換が必要とされた。

 

イノベーションへの挑戦が不可欠 経産省グリーン成長戦略

2020年12月に経済産業省が産業政策として「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」を発表した。

この発表の中で、「発想の転換」、「変革」といった言葉を並べるのは簡単だが、実行するのは、並大抵の努力ではできないと述べている。

「産業界には、これまでのビジネスモデルや戦略を根本的に変えていく必要がある企業が数多く存在する」とし、新しい時代をリードしていくチャンスの中、大胆な投資をし、イノベーションを起こすといった民間企業の前向きな挑戦を、全力で応援するのが政府の役割としている。

カーボンニュートラルでは電力の脱炭素化が大前提であるとし、再生エネルギーについては洋上風力・蓄電池産業、水素発電など水素産業の創出、カーボンリサイクル・燃料アンモニア産業の創出などが盛り込まれている。水素産業、自動車・蓄電池産業、運輸関連産業、住宅産業を成長分野に挙げた。

2050年カーボンニュートラルは極めて困難な課題であり、これまで以上に野心的なイノベーションへの挑戦を必要とし、NEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)に10年間で2兆円の基金を造成することを呼び水に、イノベーション投資への意欲を喚起する。

 

高崎商工会議所「商工たかさき」2021年4月

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