DX入門(2)DXを活用したビジネス展開
(2021年03月30日)
最新技術を導入し独自サービスを展開
既存システムを大きく転換
DXを活用したビジネスモデルは、ITサービスにとどまらず多様な産業で展開されている。AIやIoT技術を導入し、ビジネスを変革していくことがDXの効果として期待されている。
DXによる経営変革、競争力強化をはかるために、実現する目標、自社の現状や課題を明確にし、アクションにつなげている高崎市内企業の取り組みについて紹介する。
清掃業務にAIロボット導入
群成舎は施設管理部門のDX化として自動運転の清掃ロボットを導入した。
この清掃ロボットは、除塵、床洗浄と洗浄液の回収を自動で行う。作業場所のマッピング情報を記憶し、広範囲の清掃作業を自動で行う。センサーにより人や障害物を迂回し、ルート上に戻って清掃を継続する。
群成舎では、清掃の品質と作業効率の向上を目的に、同社が清掃及び設備管理業務を担当する高崎芸術劇場で導入した。この清掃ロボットは群馬県内で初導入。人手で1時間ほどの作業が20分から30分で行えるという。また使用している洗剤は自然素材のエコ製品で環境にも配慮しているそうだ。
高崎芸術劇場のフロアをロボットが自動で清掃する様子は、近未来の映像を見るようでもある。
感染防止対策としても重要
品質の高い清掃作業は、多くの人が集まる公共空間における新型コロナ感染防止対策としても重要な使命を持っていると言えるだろう。
清掃機器としては人が押して操作する歩行型やゴーカートのような乗車型があるが、AI(人工知能)の発達により、自動運転の清掃ロボットの開発が進んでいるそうだ。群成舎では、清掃ロボットの導入により、作業の効率化と人手不足の解消、品質の高い作業の提供がはかれると考えている。
館内の清掃作業は、開館前や閉館後など利用者のいない時間帯に加え、感染防止対策として、エスカレータのベルト、ドアノブなど人の手が触れるところは2時間ごとに消毒・清掃を実施している。また演奏会場では、コンサートスタッフらと連携し、観客の入れ替え時間に客席の消毒清掃を実施している。
業務内容は多様化し、人による作業とAIによるロボット作業を効果的に組み合わせ、質の高いサービスを提供していきたいとしている。
煩雑な契約書類を一元管理
群成舎では、多店舗展開をしている事業者に向け、クラウドを活用した廃棄物管理システム「アルゴスJシステム」を提供している。
事業者が排出する廃棄物の処理委託は厳格なコンプライアンスが必須となっている。廃棄物処理の委託契約書には法定の記載事項があり、契約条項の不備は委託基準違反として排出側の事業者、つまり群成舎にとってはお客様が処罰の対象になる。また廃棄物処理は県や市町村の所管となっており、多店舗展開している事業者は委託事業者も多くなり、契約書の枚数や廃棄物の処理を明確にするための廃棄物管理伝票の枚数も非常に多い。契約締結や管理にかかる手間は大きく、チェック事項は煩雑だ。
廃棄物管理システム「アルゴスJシステム」は、契約書情報、委託事業者情報をクラウド上に置き、トータルな管理体制の構築をはかる。また各店の廃棄物処理の実情やコストの把握につながるなど、廃棄物管理の「見える化」につながる。システム名の「アルゴス」はギリシア神話に登場する100目の巨人で、色々な視点で管理していくことを象徴しているそうだ。
そして契約書や廃棄物管理伝票の管理を徹底し、管理コストの削減、契約や許認可の期限切れをシステムが事前に自動的に知らせてくれるなど、契約の期限切れなどといったうっかりミスも防止するので、システムの導入効果は大きいという。
ウェブ上で見積依頼もでき、社内決裁機能も付属しているので、対面や移動による感染リスクも低減することができる。
群成舎では「クラウドを活用し、ITを使ってお客様の問題解決をはかっていきたい。IT化が遅れている分野なので、システム化を通じて業界の発展に貢献したい」と話している。
株式会社 群成舎
代表取締役社長 芝崎 勝治さん
高崎市上並榎町129-1
電話:027-362-5533
https://gunseisya.co.jp/
高崎商工会議所『商工たかさき』2021年3月号